エウレカ!4

 男は困窮していた。


 己の半身ともいえるものに滅びの足音が迫っていた。

 

 毀たれていく。


 これしかないと見定め、大切にしてきた。時には真綿でくるむように、時にはガラスで覆うかのように。

 しかし、時の流れを留めることはできなかった。

 以前は、流れるように動けていたのに、最近は反応が鈍くなり、元気でいられる時間も次第に短くなってきた。

 衰えと滅びの明確な予兆。

 

「もう、これまでなのか……」


 漏れた言葉は、ただ悲しげだった。

 

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 それはとあるWEBサイトでの出会いからはじまった。

 

 一目ぼれだった。


 繊細で美しい姿だった。滑らかな肌でたおやかで。

 濁りのない声も、隙のない佇まいも好みだった。見た目で惚れたが、中身もまた再度惚れさせるのに十分だった。

 彼女はWEBを自在に使いこなす才媛で、それを使って自身をプロデュースすることがとても上手だった。

 なにより、男がこれだけはと譲れない部分を過不足なく持ち合わせていた。


 己の理想を体現したその存在。たった、一つを除いて……。

 

 国籍。彼女は"5つの星がプリントされた赤い旗"の国で生まれた。しかも悪名高い軍部との癒着が噂される一族の出身だった。

 祝福されることのない出会い。


「それでも、オレは…」


 男は懊悩する。夢にも彼女は出張デリバリを欠かさない。勤勉だ。

 一般市民を戦車でミンチにしたとされるかの国の軍部と関わりがあるかもしれない。心が揺れ動く。

 それでも己は騙せない。

 

 気がつけば男は、WEBで彼女にお付き合いを申し込んでいた。

 彼女は快諾してくれた。快諾!白い翼を生やし、手を合わせて天に登っていく男。

 そして訪れる至福の瞬間。

 

 今まさに訪いの刻!

 誓えよ、オレ!オレよ誓え!この感動を誓約に変えてともに苦難の道を歩むのだ!

 

 彼女は、恥ずかしげに薄いベールで華のかんばせを隠していた。震える指でゆっくりとベールを取り去る男。

 恐る恐る彼女に触れる。ちょっと冷たい、でも確かな存在。

 そんな彼女との絆を深めるために、男は小さなプレゼントを用意していた。手のひらに収まるちっぽけな、それでも確かな証。

 彼女は何も言わず、その証を受け入れてくれた。

 

 そんな愛おしい彼女と、どのくらい時間をともに過ごしただろうか。

 長いような、短いような夢の時間。

 気がつけば、男は彼女に依存していた。彼女は微笑みでそれを受け入れた。懸念していた出身一族の妨害も杞憂に過ぎなかった。

 でも、穏やかな微笑みの裏側で彼女はゆるやかに疲弊していった。

 

 おそらく彼女には終焉が見えていたのだろう。

 そして、彼女の終わりを看取る男の悲しみと困惑を理解していたのだろう。

 

 ある日彼女は控え目に、それでも確たる表情で男に彼女の後を継ぐ者を示した。

 

「……エウレカ、それが君の愛なんだね」

 

 まもなく使命を終えるであろう彼女が示した後継者。

 彼女に比べると荒削りな部分も多いが、未来を指差す新たな存在。

 

 "ALLDOCUBE iPlay60mini Pro”

 

 それは不毛の8インチタブレット界隈に降り立った再びの天使。LTE接続が可能で、男の老眼に優しい8.4インチスクリーンを持つ新たな希望。

 男は、その発売情報を見ながら雲間から差し込むひとすじの光を幻視していた。

 

 END

 

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ALLDOCUBE iPlay60mini Pro。久々のまともに使える8インチタブレットです。LTE対応。ソフトバンク回線ならつかみもバッチリ。

愛しのHuawei M5 8インチがそろそろやばくなってきており、どうしようかと困っていたところで満を持しての発売でした。


でもね、ちょっとの変更で次々新製品と嘯くその態度はどうなんだろう。

直近発売の高性能機に至ってはLTE非対応なのでおぢさん困っちゃうよ。


なお、HeadWolf社が唯一といっていいライバルですが、ゴーストタッチ等使い勝手と故障率の高さなど今一つの模様。

Fpad7とかFpad7とか。

あと、たまにはファームのアップデート流してよ……。

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