epilogue

 ある場所に、ウエストレスト大森林と呼ばれる魔女だけの森があった。

 そこに住まうは魔女と、その伴侶のみ。

 

 魔力の増幅を最優先に求められたその森では、魔力が高い子が生まれると、偉大なる大魔法使いにあやかり、メオ、と名付けることが決められていた。


「メオ、メオ!」

「メオがいないの!」

「どこにいるの、メオ!」


 その子は生まれつき魔力が高く、地殻変動すらをも起こしてしまう程の魔力を保持していたのだが、誰もそのことに気付くことが出来ず。強大な魔力を操作できなかったその子は、ついには休火山すらをも、爆発させてしまっていた。


「うええぇ…………ママぁ…………」


 炎の中、泣きじゃくるその子は、己の死を覚悟した。

 もう逃げられない、炎と溶岩が、全てを包み込んでしまう。

 そんな時だ、青く輝く人が、空から降ってきたのは。


『あきれた、本当にいたのね』


「えぐっ、うぐっ」


『大丈夫、助けてあげるから……もう、安心してね』


 青き人はふわりと体を浮かすと、幼きメオを安全な場所まで運んだ。

 それは魔法というよりも、風のように浮かんだのだ。

 

「ひっく……あ、あり、がとう……」


『どういたしまして、ケガはない?』


「うん……あの……もう一度、会うことは、できますか?」


 紫色の髪、懐かしむように彼女の頭を撫でた青い人は、笑みを浮かべてこう言った。


『大丈夫、絶対にまた会える……必ず、迎えに行くからね』


「……うん、私、メオ、アナタは?」


『今は、内緒。またね、メオちゃん』


 数年後、メオは己の高すぎる魔力により、魔法陣を自らの魔力で書き換え、過去へと飛んだ。

 

『メオちゃんの話は、本当だったのね』


 霊体となり、死から逃れられる存在となったディアは、懐かしき日々を想い浮かべる。

 あの輝かしくも懐かしい、黄金の日々を。


『さてと、私もそろそろ、メオちゃんに会いに行こうかな』

 

 あの日みた悪霊とは違い。

 空からの光に包まれたディアは、天空に優しい笑みを浮かべた彼女を見つけた。

 

「早く、時空魔法が閉じちゃいますから!」

『分かったって、急いでいくから待って!』


 そして戻るのだ。

 忙しくて楽しくてたまらない、メオとの生活に。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

やがて億万長者になる、世にも幸せな魔女の物語 書峰颯@『いとこ×なじみ』配信開始! @sokin

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

カクヨムを、もっと楽しもう

この小説のおすすめレビューを見る

この小説のタグ