第6話 晒された学園
桜ノ宮学園の校則は、長年その異常さで生徒たちを苦しめてきたが、これまでは校内の出来事として閉じ込められていた。しかし、ある日を境にその秘密が外部に漏れ、学園は一気に注目を浴びることになった。きっかけは、SNSに投稿された生徒たちの写真が拡散され、ネット上で「異常な校則を持つ学校」として話題になったことだった。そして、それを嗅ぎつけた週刊誌が動き出した。
外部への拡散
大学3年生の山崎彩乃は、先日の全裸罰則の後、SNSでの拡散に苦しんでいた。彼女の写真を投稿した田中翔のアカウントがバズり、見知らぬユーザーからのコメントやリポストが止まらなかった。だが、それだけでは終わらなかった。ある朝、彩乃が登校すると、キャンパスの入り口に怪しい男たちが立っていた。カメラを手に持つ彼らは、明らかに学生ではなく、外部の人間だった。
「おい、あそこに全裸の子いるぞ!」「桜ノ宮の校則、ほんとヤバいな」「モザイクなしで撮れるチャンスだ」
男たちは週刊誌「週刊リアル」の記者とカメラマンだった。この雑誌はゴシップやスキャンダルを専門とし、過激な内容で売り上げを伸ばしていた。彼らはネットで話題になった校則を特集するため、潜入取材を決行していたのだ。
その日、大学2年生の西野真希が罰則を受け、全裸でキャンパスを歩いていた。彼女は心理学の講義で緊張のあまり失態を犯し、校則に従って服を全て脱いでいた。図書館に向かう途中、突然カメラのフラッシュが光った。
「えっ、何!?」真希が振り返ると、男たちが彼女を囲み、次々とシャッターを切っていた。「やめてください!」彼女は叫び、両腕で身体を隠したが、カメラマンは構わず撮影を続けた。「いい写真だ!これ、表紙に使えるぞ!」記者が興奮した声で叫んだ。
真希は逃げようとしたが、キャンパスの通路は狭く、隠れる場所もなかった。学生たちが遠くから騒ぎを見守り、中にはスマホで撮影する者もいた。彼女の羞恥は頂点に達し、涙が溢れた。「お願い…撮らないで…」
週刊誌の発売
数日後、「週刊リアル」の最新号が発売された。表紙には「桜ノ宮学園の異常校則!全裸で過ごす女子学生」と大見出しが躍り、真希の写真がモザイクなしで掲載されていた。顔はもちろん、全身が鮮明に写っており、彼女が図書館に向かう姿が全国に晒された。
学園内は大混乱に陥った。学生たちがコンビニや駅前のキオスクで雑誌を手に取り、囁き合った。「これ、西野真希じゃん…」「モザイクなしってヤバすぎ」「全国に知られちゃったよ」
真希は発売日、部屋に閉じこもった。友達からの「大丈夫?」というメッセージが届いたが、彼女は返信できなかった。雑誌を手に取った瞬間、自分の裸体が紙面に広がっているのを見て、頭が真っ白になった。「もう…終わりだ…」彼女はベッドに倒れ込み、泣き続けた。
高校2年生の清水美緒も、週刊誌の影響を受けた一人だった。彼女の下半身裸の写真はSNSで拡散されていたが、雑誌には別の女子生徒の写真が載っていた。しかし、学園全体が注目される中、彼女にも記者の目が向けられていた。放課後、校門を出ると、カメラを持った男が待ち構えていた。
「おい、君も校則で下半身裸になった子だろ?ちょっと撮らせてくれ!」記者が近づき、美緒は慌てて走り出した。「やめてください!撮らないで!」彼女は叫んだが、背後でシャッター音が響いた。
学園内の混乱
週刊誌の発売後、桜ノ宮学園は外部からの視線に晒され続けた。校門前には記者や野次馬が集まり、カメラを手に生徒たちを待ち構えた。罰則を受けた女子生徒が現れるたび、フラッシュが光り、写真が撮られた。高校生の下半身裸、大学生の全裸——それらが次々と雑誌やネットに掲載され、学園は「異常な学校」として全国に知れ渡った。
生徒たちの反応は様々だった。男子の一部は「これで有名になったぜ」と笑いものにしつつ、内心で好奇心を抑えきれなかった。「週刊誌に載るなんてすごいよな」「でも、ちょっと可哀想かも」と囁き合う者もいた。一方、女子たちは恐怖と羞恥に震えた。「次は私かもしれない…」「もう外に出たくない」と怯える声が広がった。
真希は学校を休み続けた。家族にも雑誌を見られ、「どうしてこんな目に…」と責められた。彼女の心はズタズタで、外に出る勇気すら失っていた。美緒は登校を続けたが、校門前で記者に囲まれるたび、涙を堪えて走った。「恥ずかしいけど…負けたくない」と自分に言い聞かせた。
羞恥の連鎖
週刊誌の報道は止まらず、次号では「桜ノ宮学園の校則全貌!」と題し、さらに多くの生徒の写真が掲載された。大学1年生の佐々木優香が全裸でキャンパスを歩く姿、高校3年生の林美咲が下半身裸で校庭に立つ姿——全てモザイクなしで、全国のコンビニに並んだ。
優香は雑誌を見た夜、部屋で泣き崩れた。「もう…生きていけない…」彼女のSNSには知らない人からのコメントが殺到し、「恥ずかしいね」「でも面白い」と嘲笑われた。美咲は学校で友達に囲まれ、「気にしないで」と励まされたが、内心では屈辱で押し潰されそうだった。
教師たちは対応に追われた。校長が「校則は伝統であり、見直す予定はない」とコメントすると、週刊誌はさらに過激な取材を続けた。生徒たちは羞恥に苦しみながらも、逃げ場のない現実と向き合わざるを得なかった。
小さな抵抗
その夜、真希は友達と電話で話した。「もう学校行けないよ…」友達が「でも、真希が悪いんじゃないよ。校則がおかしいんだから」と励ますと、彼女は少し考えた。「そうだね…この学校、変だよね…」
美緒も友達とLINEで語り合った。「記者うざいけど、私たち何かできないかな?」仲間が「校則変えようよ」と提案し、美緒の目に光が戻った。「そうだね…負けないよ」
羞恥に苛まれながらも、生徒たちの心に小さな抵抗の火が灯り始めた。週刊誌に晒された彼女たちは、この異常な状況を変える日を夢見ていた。
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