ちょっと皆んなで話し合おうか…
赤子とも言っていいほどの小さい子を、我々は城に連れて帰った。勿論子供は女王が連れて帰る。女王は何度も赤子をみては、女王がしてはいけない顔をしていた。
「本当に可愛いぃ〜」
「あの〜女王様、私も抱っこしたいですわ…」
「駄目に決まってるでしょ」
「女王様だけ狡いです!」
「「「そうだ!そうだ!」」」
その言葉を皮切りに皆んなが女王のもとに群がる。
皆んながこの子供に魅了されているのだ。
「えぇーい!皆離れんか!この子が起きるかも知らないだろう!」
その言葉に反応して、子供がピクッと反応する。子供が動くのをみて、皆んなは直ぐに静かになった。
「それにしても子供なんて何年ぶりにみたんだろうか」
「確か私達の国で最後に子供が産まれたのは、120年程前だったと思います」
「そんなに前だったのか…」
女王がいるこの国は、大半がエルフの種族で構成されている。エルフの寿命は、一般的には2000年と言われている。2000年もあれば子供を見る機会は沢山あると思われるが、この国には男が居なかった。だから、子供を見る機会はそうそう無い。120年前だって、偶々この国に来た集団に男が居て、大金を払い子供を授かる事が出来た。
他の国では、男を攫うなどして手に入れる国もあるみたいだが、そんな蛮族な様な事はしたくは無い。
だからこの子供は私達の希望なのだ…
女神様が何故私達にこの子を託したかは分からない。だが、少しずつ衰退して行く我らの国では、この子は希望の光となるだろう。少なくてもここに居る皆んなはそう願っている。
女王はそんな事を思いながら子供の額に埋め込まれた小さな宝石を優しく撫でるのだった。
城に帰り皆が玉座の間に集まる。勿論子供は女王の膝の上でお休み中だ。
「この子の名前をこれから決めたいと思う」
まず初めに取り掛かったのは、この子に名を与える事だった。
名前を決める際に、色々な案が出てくる。ぼくちゃん、男、夫、性神など、どれも名前とは言えない酷い案ばかりでどうしようもない。
しばらく案を出し合ったが、一向に決まる気配は無い…悩んでいた時に、女神から神託を貰った巫女が口を開く。
「アレクと言う名はどうでしょうか…?珍しい宝石から参考にした名のですが」
「アレク…いいな、アレクか…」
「「「「「アレク様…いいぃ」」」」」
名前が決まった事で皆の将来の妄想も広がったみたいだった。
「皆の者よく聞け!この子はアレク!将来は私の夫になる男だ!!」
女王が宣言した瞬間、城内が静まり返る…
「「「何言ってんだ!この駄女ぁぁぁぁぁああ!!!」」」
「あん?なんだってぇぇえ!!?」
皆だってアレクの妻になりたいのだ。女王だからと言って抜け駆けは許さないと喧嘩が始まった。
場は騒然として居たが、皆の顔は笑っている。私達には幸せな未来があるのだからと。
そんな皆んなの気持ちに反応するように、アレクは女王の指を掴んだ。
「あんっ♡アレクもフィスお姉ちゃんと一緒になりたいですよね〜♡」
「「「「狡いぃぃぃぃいいい!!!!」」」
こうして、賑やかに時は過ぎて行くのだった…
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
たるたもです。
次回から本格的に始まっていきます!
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます