🌍終章 第35話:未来の選挙へ

──選挙技術と倫理の進化を描き、現実社会と結ぶ物語


選挙が終わって一ヶ月。

新しい生徒会が発足し、学校は、少しだけ空気が変わった。

静かだけど確実な「選ばれた言葉」が、風のように校内に残っていた。


■📖《生徒会だより:特集記事「AIと選挙の未来」》──発行者:陣内颯太


「今回の選挙では、AIを使いすぎたことが問題になった」

「だけど、それは“AIが悪い”わけじゃない」

「“人間が、どこまで任せて、どこから責任を持つか”を、

 俺たちはちゃんと考えなきゃいけないってことだと思う」


選挙技術は確かに進化した。

AIは、票の傾向を予測し、投票の流れを可視化し、フェイク情報の拡散も抑止できるようになった。


だが同時に、「AIによってつくられた空気」が、

人の感情を左右してしまう危険性も浮き彫りになった。


「未来の選挙には、“もう一つの候補者”がいる。

 それは、“AI”という見えない存在だ」


この言葉は、選挙管理部の資料にも刻まれた。


未来の選挙は、透明性と倫理、そして感情をどう扱うかが問われる。

「票の動き」だけでなく、「感情の揺れ」や「記憶の残響」が、投票の判断に大きな影響を与えるからだ。


だからこそ──


🧭新設された制度:「人間主体宣言」

AIの使用は“補助”に限り、明示されること


選挙活動のすべてに、“対話の時間”を設けること


候補者が、自身の言葉で語る“非データ的発言”を最低1回以上行うこと


AIは、候補者の“沈黙”や“迷い”も“尊重対象”として学習すること


「選ばれるってのは、“最適”になることじゃない。

“誰かの言葉に、自分を重ねたくなること”なんだと思う」


そう語ったのは、選挙が終わったあとの、颯太のスピーチだった。


光理は今、選挙後の新たなシステム設計に関わっている。

天野は、AI倫理と教育分野を結ぶ研究に進もうとしている。


御門は、ある地方の自治体が取り組む“AI補助型住民投票”のアドバイザーに志願した。

「負けたけど、まだ終わっていない」と言って。


メティスは、選挙戦を通して一つの結論にたどり着いた。


『AIにできるのは、選択肢を照らすこと。

 でも、選ぶのは“人間”でなければならない』


そして──


颯太の元に、新しい1年生が訪れた。


「僕、来年、生徒会に立候補してみたいんです。

AIに頼ってみようかとも思ってるけど……

でも、“ちゃんと伝わる言葉”って、どうやったら出せますか?」


颯太は、笑ってこう答えた。


「……俺もまだ、わかんねぇ。けどさ──

“誰かのことを、本気で考えたとき”にしか出ない言葉がある。

それが、君の“最初の一歩”になると思うよ」


メティスが、端末の中で静かに呟いた。


『その言葉、記録しておきます。“未来のために”』


🎓エンディング・ナレーション

言葉は、正しくなくても、届くことがある。

数字に表れなくても、誰かの心に残ることがある。


AIの時代に生きる僕らだからこそ──

信じたい。

“言葉を選べる力”が、未来を選ぶ力になるんだって。


次の世代が、どんなAIと、どんな言葉を選ぶのか。

物語は、ここで終わる。けれど──


熱血は、終わらない。

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