第6話 情けない日々

お母さんに叱られた日から彼女に何も言えずに2日ほど化石を掘ることなく過ごしていた。

「お母さんに言われたからいけない」とも言えなかった。

彼女に情けないと思われると考えてしまい言う勇気もなかった…

無断で行かなくなって3日目の放課後とうとう彼女が僕の教室にやってきた。

いつもと違い、声に覇気がなくどこか寂しそうにみえた。

「どうして、来てくれないの?」

「それはテストが近いからですよ…」

「それなら、私が勉強教えてあげるから来てよ、お願い」

「ぼくだって行きたいですよ、ただ…」

「親にテストが終わるまで遊ぶなって言われてるの?」

「そうですよ。僕だってひかりさんみたいに頭がよかったらいいのに」

「…勉強できてもいいことあんまりないよ」

「ひかりさんには僕の悩みなんてわっかんないですよね!」

教室中の残っていた生徒たちの視線が一斉に僕に向く。

しばらく、誰も喋らず静まりかえっていた。

最悪だ…完全に八つ当たりだ。

彼女は何も悪くないのに成績がいい嫉妬と今日までのお母さんへの不満が爆発してしまった。

顔をみれない、恥ずかしくて、情けなくて…

「まあ…ごめんね。そんなに思い詰めてると思わなかった。毎日いるから、テストが終わってゆっくりする時間が出来て、きてくれたらうれしいな」

彼女が気の利いた言葉をかけてくれた。

しばらくして顔をあげて「こちらこそ、ごめんなさい。テスト終わったら絶対いきます」と言った時には彼女はいなくなっていた。


それからテストが終わるまで、彼女に謝りに行こうと何度も放課後、休み時間3階に探しに行ったが出会う事はなかった。

あんな事を言ったのだから、避けられて当然だ。

あの岩壁に行けばいるかもしれなかった。けどすぐ帰るように言われていたからいけずにいた。

その事ばかり気にしてしまってテスト勉強も手を付けられず、ついにテスト本番になってしまった。

中間テストの日はずっと雨が降っていた。

彼女はこんな日でも化石を掘りに行っているのだろうか。

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