だんだんと色づく、救済の物語
- ★★ Very Good!!
あまりに過酷な家庭環境にいた杏奈。
ある日、夢で見た草原で目が覚める。
そこでの呼び名はアン。
あたたかな家庭から突然行方をくらました愛娘だったという。
望まれぬ子だった境遇から一転、誰からも再会を願われた子へ。
優しい人々に囲まれた彼女は――――
本作の魅力は心情描写。
杏奈は心を押し殺し続けた結果、自分が何を感じているかすらわからない。
そこからゆっくりと、手探りしながら感情が動き始める推移が本当に見事。
渇ききった土に水をやるような文体は、読者の心にも沁み入ることだろう。
世界観も外せない。
日々の出来事はパステル調といった雰囲気で、ただひたすらに柔らかい。
大いなる秘密が動き出す気配もあるが……今のところはこの陽だまりを享受したい気分。
癒しを求める人には特にオススメする。
お星様は続編を期待しての二つ。
残る一つは、いずれ完全に締めくくられた日に改めて。