妄想に安心したくなるほどに、現実の方が異様
- ★★★ Excellent!!!
語り口はオタク的で内向的な女性の一人語りという形式ですが、その素朴でやや拙い語りが逆に“真実味”と“異様な現実感”を伴っており、じわじわと怖くなってきました。
この「怖いポイントがないはずなのに怖い」という感覚が凄いです。
作中、語り手の女性は最後に「これは妄想ですけど」と自己完結します。
しかし、"むしろその妄想であってくれた方がマシ”という逆転が起こりました。
なぜなら、女性が語る実験内容よりも、
・そんなステッカーが「普通に売られている」という状況そのもの
・しかも誰も気にせず、見過ごしているという事実
・そしてそれを本当に貼って回っている誰かの存在
これらすべてが、「現実に存在している異常」だからです。
つまり、「妄想の中の説明」のほうがまだ筋が通っており、現実の方が説明のつかない不気味さに満ちている。これは非常に洗練された恐怖の構造だと感じます。