第9話 メシマズ世の中、潜ったダンジョンはシノにとっての宝物庫、増える旅の道連れ。


シノは無事?冒険者登録を終えた。


冒険者男「あの~よかったら俺達とPT組んで貰えないか?ダンジョンに潜るんだ、同行してもらえないかどうだろう?。」


シノにはモンスター達がいる、別に誰かと組む必要はないのだが何かしらの知識は必要と思った。


シノ「ええいいわよ、でもこの子達も一緒に付いていくことになるけど構わないわよね?。」


シノを後ろにいるのは6匹シャインウルフとクラッシャーホースが座っている、すると冒険者PTの男達の顔が引きつる、さっきまでシノを馬鹿にしていた男達の手のひら返し。

女たちのヤジが飛ぶ、


女冒険者達、「あんた達さっきまでこの人の事、他の野郎達と一緒馬鹿にしてたじゃない、今更どの面下げてPT組もうなんて言ってんのよ!?」


男冒険者達「別にいいじゃねぇか!強いのはわかったし頼りになるじゃねぇか!最弱職のテイマーだとは思わなかったけどよ。」


シノ「あら?確かにテイマーだけど?それが何?マジックナイトテイマーって職業増えたの知らないの?告知されてる筈だけど?確認してみたらどうかしら?、後この子達貴方達より強いからね、私にとってモンスターは大事なパートナーよ、余り馬鹿にしないでいただけないかしら。」


旗から見てもモンスターの装備が充実している、しかしシノ本人の装備は王に貰ったブレストマジックアーマーと小太刀1対と軽装装備。


見た目弱そうに見えるが、ショルダー部分のミサイルは魔力さえあれば多段発射で撃てる上威力もかなりある防具、一発の魔力消費消費が1と、優れものだという事を彼らは知らない。


モンスター達の装備は当初作った装備、シノの装備が盗まれなくなった事を危惧し、モンスター達は、貰った装備を使ってくれ申し出たが、シノは断っている。


モンスターの方が強いのだからモンスター達の装備が最優先と言い切ったのだった。


そもそも肝心の素材が心許ない状況、これから増えるであろうモンスターの装備を優先した。


敵であるモンスターからすれば、シノがアリで、モンスターはゾウである。


ある程度は戦えるだろうが、今回の訓練場での一幕も先制攻撃、相手が油断していたのもあり、ギフトもスキルも使う隙を与えなかっただけで、今後対策されれば勝てる要素は薄いだろうと、シノは踏んでいる。


切り札は伏せておくのが吉、見せてしまえば対策される、当たり前の構図できあがる。


冒険者ランクAと言われているが、本来シノはギフトとスキルのお陰であり、Aランクと言われれば、実際はもっと低いのではと思っている。


この世界はギフトとスキルが物を言う世界、未知数のギフトやスキルがあるのだから油断はできない。


女性達「調子良すぎ、利用しようってのが見え見え、ミキハラさんだっけ?止めときなよ、こいつ等油断してると後ろから狙ってくるかもよ?お勧めしないねあたし達は、仲良くなってあわよくば頂こうと貞操でも狙ってんじゃないの?。」


男冒険者A「それの何が悪いってんだ?そりゃこんだけ綺麗な姉ちゃんならそれを望むのが普通じゃねぇか?。」


男冒険者B「おい!止めろ!全部が全部そんな考えばかりじゃないから誤解しないでくれ、おいお前!ふざけんなよ!お前はいいけどな、他の奴らも同様と思って語ってんじゃねぇぞこの野郎、俺達を巻き込むなよ!?。」


男冒険者達「そうだ!そうだ!。」


男冒険者A「チッ、悪かったよ。」


女冒険者「ハァ、これだから男は下心が見え透いてるわね、あんた達男に任せてらんない、ミキハラさん登録したばっかりでしょう?、良ければ私達が冒険のイロハ教えるよ、男共は都合のいい事しか言わなそうだし~信用ならないからね、どう?。」


シノ「是非お願いするわ、今の話聞いてどうも男の人は信用できなさそうだし、同じ女として教えてもらえると助かるわ。」


女冒険者達「そう来なくちゃ、ギルドの受付嬢からも教わること沢山あるわよ~♪。」


こうしてシノは冒険者としてのイロハだけでなく、私生活やフィールドワーク、ダンジョンの知識そしてルールを、数時間かけて教えてもらうことが出来た。


シノ「皆ありがとう、お礼とは言っては何だけど、私の国で普段食べてる料理なんだけど、外でも持ち運びに便利な食事教えるわね、食べてみたくない?水を使って茹でる料理なんだけど美味しいわよ?どうかしら?。」


女性全員「え!?何々すっごく気になるわ。」


女性ギルド職員「ならレシピ登録お願いできませんか?一般にも販売できそうなら、売り上げの2割がミキハラさんのギルドカードに支払われますから、如何ですか?ギルドの厨房も使っていただいて教えていただければ大変ありがたいのです。」


シノ「簡単なものでいいならですけど、パスタと呼ばれる麺を作りますから、良ければ皆で作ってみませんか?単純ですけど道具と材料は揃っていますから、多分すぐできると思いますよ?。」


シノはギルドの厨房を、ギルドマスターから借りることになったのだ、ギルドマスターも興味津々といった様子で製作に参加している、イカツイ体に似合わないエプロン姿のいで立ちで。


ギルマス「ミキハラちゃん、パスタ?だったか?旨いのかそれは冒険でも持ち運びが出来るらしいがどんなもんだ?。」


シノ「乾燥した細い麵ですよ、お水とお鍋、後はかけて食べる具があれば何時でも何処でも食べられますし、長距離移動でも、乾燥した調味料でも振りかければ美味しく食べられますよ。」


ギルマス「ほう?そりゃ便利で豪華な食事になりそうだ、で調味料ってのは何だ?塩だけじゃダメなのか?。」


シノ「あ~その辺りもお教えしますから慌てないでくださいね、良ければ詳しく書いた絵柄の本も作りますから、そちらもギルド購入にして下さると助かるんですけど、如何ですか?。」


ギルマス「おお!そりゃ助かる、ミキハラちゃんあの鍋の料理旨いと?思うか?俺達にとっては普通なんだが、アレより旨い物なのか?。」


シノ「まずは作ってからのお楽しみで、感想は後で受け付けますね、今の料理は正直に言えば全くもって美味しくありませんし、むしろ私には危険な毒物にしか見えませんね。」


女性陣「あの鍋の食べ物が毒物って、え~?私たちは普通に食べてるけど、危険なの?私達って毒物食べてたのかしら?言われてみれば皆毒物耐性だけは、無駄に上がってたような気がするのは何故かしら?子供の頃は熱出したりしたけど。」


シノ(それって食べることで、毒耐性獲得してたんじゃ・・・なんて恐ろしい、味覚もバグってるのかもしれないわね、考えたくないわ、お肉の血抜きに関しても教えた方がよさそうね、串焼きも美味しくなるはずだし、毒を喰らわば皿までこの際だから色々レクチャーした方がいいかもしれないわ、でも毒耐性を得る儀式としては残した方がよさそうな料理ね、死ぬわけじゃなさそうだし。)


しかしシノは後になって後悔する、その料理は食べたことによって、約三日間寝込む事になる、それによって毒耐性を得ることになるとは思いもしなかったのである、あの毒々しい料理はやはり見た目どおりの危険な食べ物?だった。


シノは持てる食材を使い、又は他の協力を得て皆で、素材や材料を持ち寄りドンドン作っては食べ貰い、感想を聞き、レシピ絵柄で分かりやすく書いて製作し売っていった。


男達はギルマスの指示で必要となる調味料や解体方法、血抜きの大切さを学び、素材集めに奔走させられていた、シノの料理を食べた彼らの行動力は異常をきたしていた。


それは旨い物を食べたい一心で、動く狂戦士化、その上一時的なステムアップが更に拍車をかけて行った。


女性たちも同じく料理に旨さに、目が血走りこれもまた狂ったように素材や材料、食材が異常な速度で消費されてゆく、トライ&エラーを繰り返し、成功した時には涙を流し余りの旨さに心を躍らせている。


シノ「ギルマス申し訳ないのですが、あのマズイ料理は捨てないで、毒耐性獲得に使ってくださいね、今や拷問とも思えますが、利用できるものは儀式として偽ってでも会得させた方がいいですよ?残しておけばモンスターの毒に耐えられますし、生存者は多い方がいいですから。」


ギルマス「わかった、あれは捨てずに今後利用しよう、明らかに匂いも味も最悪だが、確かに今後も必要になる、少なくとも週一回は強制的に食べさせるようにする、逃げ出す者は冒険者剝奪と言えば嫌でも食わざるを得ないだろう、レシピも含め全ギルドに通達しておく。」


男女性陣「え~~~!?もうあんなの食いたくないですよ~。」


ギルマス「バカヤロー!?その毒耐性のお陰でどれだけ助かったと思ってんだ!?大体毒消しなんてシノちゃんが作ってくれたもの以外どこにもねぇんだぞ?今までが可笑しかったんだよ!毒消しのレシピは今後も更に必要になるだろう、あ~考えたら毒殺された奴なんて聞いた事なかったな、麻痺はあるが、今後どうすんべ、王族や貴族は絶対この不味いの食わんだろ?。」


シノ「なら成長の過程で、同じように貴族王族でいたいなら、試験や試練として残すのが良いかもしれませんね、それなら嫌でも食べそうですし?というか無理やり食べてもらいますよ、毒殺される懸念も払われるんじゃないかしら?一般家庭でも、毒で死にたくないならと付け加えればよろしいのではないかしら、死ぬわけではありませんし、もちろん週一で。」


ギルマス「シノちゃん、案外容赦ないのな、わかったそれで通すしかないだろう、はぁ・・・飯が旨くなった分懸念事項が増えたな、シノちゃんには感謝しても足りんな、今までがいろんな意味で可笑しかった、俺達は麻痺していたんだろう、俺も新人たちの為にマズイ飯を一緒に食うう事にする、見本は今後も必要だろからな、喰える奴はある程度褒めて可愛がり、喰えないアホには資格なしとして扱いを変えるとするか、これも全ギルドに通達、必須事項として、ルールに加える。」


シノはこの約一ヶ月長期保存の効く、料理レシピばかりを放出した、一般家庭料理・甘いお菓子・デザート・酒は一切出していない、出せば更なる拘束が待っているからだった。

調味料や香辛料の価値と使い方だけを指導した、今後は各国の人々が作っていけばいいと思っている。


シノ「今後は一般のお店でも取り扱う商品が増えて、色々な意味で潤いを見せ始めますから、こちらとしても普通の買い物で色々買えるのは助かりますね。」


ギルマス「シノちゃんの事だから、ま~だ隠してるんだろう?確かにこれ以上覚えるとなると、専門の各料理人を呼んで覚えさせた方が効率がよさそうだな、創作研究も進みそうだ。

何にしてもギルドのメンバー職員やら、冒険者共で店を開く奴が増えたからな、お陰でこっちは人手不足だ。

ギルドの酒場も賑わいを見せちゃいるが、冒険者志望はソコソコって所だな。

目が皆旨い飯に行ってるからな、しばらく落ち着きを見せるにはもう少し時間がいる、で今日は念願のダンジョンに潜るんだったな?気を付けて行けよ。」


シノ「はい、この一ヶ月料理ばかりしてましたから、何かしら珍しい物でも手に入れたら、面白い物でも作ってみますね、では後の事はギルマスにお願いしますね行ってきます。」


ギルマス「おう!気を付けてな。」


シノ「此処がダンジョン?結構遠くにあるのね王都から5キロくらいかしら、さて潜ってみますか。」


門番達「ギルドカードを提示をお願いします。」


シノ「はいこれ確認お願いね。」


門番「こ、これは・・・ミキハラ様お疲れさまです!、美味しい料理の提供!ありがとうございました!。

お陰でうちの家族は救われました、もうあんなマズイ飯食わなくていい生活が送れています、あ、ダンジョンに潜るんでしたね、どうぞお通り下さい。」


何故ここまでシノの顔がわかるのか不思議に思うだろう、ギルドカードは一種の指紋認証みたいなもので、本人の顔と名前が表示される、そして各国の認定した者だけが、打刻される特別な刻印が存在する。


シノが提供したのは長期保存の効く料理だけなのだが、その影響で世界各国に食の達人として認定されてしまった、カードには特別な刻印が打刻されている、それを偽造する者は犯罪者として扱われ、奴隷落ちするほど厳しい物となっている。


シノは勿論ある程度知ってはいるが、どれ程の価値なのか、今一理解してなかったりする、ただ分かっているのは購入する商品が半額で買える様になった事に関しては、とても喜んでいた。


ダンジョンは賑わいを潜る者が多くなった、それはシノの提供したレシピのお陰でもある、ダンジョンでは色んな物が手に入る。


ダンジョンは広い、太陽に空・海・湖・森・草原・火山マグマ地帯・砂漠・荒野・霧の立ち込める墓が沢山あったり、人狼がうろつく場所や、古く朽ち果てそうな城に城下町ある、まるで外と変わらない環境だ。

潜りつ続けて48階層、冒険者もほぼいない、ほとんどがシノのモンスターが、敵モンスターを倒してる状態、シノはモンスターが強すぎる為手を出していない。

なので経験値も入ってこないが登録モンスターは増えた。


シノ「ダンジョンのモンスター強すぎない?20階層でもう付いていけなくなったわ、お陰で三大珍味が手に出来たのは、大きな収穫だけど、インゴットだけじゃなく、鉱物資源に宝石の原石が豊富よね?木材なんて取り放題だったし。

武器も防具も宝箱から出るけど、私には無用の長物と化してるわね。

欲しかった貴重なスキルブックが腐るほど手に入ったしもう満足だわ。

装飾やアイテムは使える物が多いからは感謝しても足りないわねぇ、まさかパーフェクトポーションが手に入るとは思わなかったわ。」


パーフェクトポーション、病気や欠損、生まれつきのもの等も治癒してしまう飲み薬である、振りかけて使う事も出来る。

生まれつき目が見えなくてもそれすら見えるように治してしまう、不治の病も治せる、強力な呪いまで解いてしまう、とんでもなく貴重な物となっている。


ウルフ「主人、もう少しで最下層だよどうする?攻略しちゃう?攻略しちゃえば弱い家畜系モンスターしか出なくなるし。

宝箱と資源だけ放出される安全なダンジョンになる、便利になるよ?。

他にも後3つダンジョンあるし、一つ位安全なダンジョンがあっても良いかもしれないよ、ギルドマスター諸手を挙げて喜びそうだし、ただし貴重な物は手に入らくなる位だね。」


シノ「そうね、一つくらいは安全で快適な場所は欲しいわよね、

ポーションも沢山、収納ボックスの肥やしになってるし、何処かで使うでしょうし、取っておいて損はないわね、なら最初に戻ってもう少し周回してから攻略踏破てしまいましょうか。」


こうしてシノにとっての宝物庫と呼べるダンジョンで、アイテムを周回で回収して回る、過去に奪われてしまった、不足していた物を手に入れる事が出来たのだった。


王都のギルドに顔を出したシノ、周りから驚かれる事になる。


シノ「ギルマスさんただいま戻りました~。」


ギルマス「お前さん一年も帰らず何処ほっつき歩いてたんだ?こっちはシノの嬢ちゃんが死んだと思ってたんだぜ?死亡認定書出すとこだった、もう少し豆に顔出してくれや。」


シノは思いのほかダンジョンに潜る期間が長い事に気が付いていなかった、ステムを確認したが年を取っていない、確認するとガイアマーダーの加護が、年齢を重ねる時間を止めていることが確認出来たのだった。


シノ(一年も潜ってたんだ私、年取らないとかもう呪いよね、いい迷惑だわ、モンスターも進化はするけど年取らないのね・・・あのクソモンスター余計な事をやってくれたわね、いつか討伐してやるんだから。)


シノ「ギルドマスター心配かけてごめんなさい、ずっとダンジョンに潜ってました、後報告ですダンジョン攻略したので食料や資源沢山手に入るようになりましたよ?。」


ギルマス「・・・・・なんだって?・・・マジか?俺は耳が可笑しくなったわけじゃねぇよな?。」


冒険者達「おいおい、攻略踏破ってやばくねぇか、この200年聞いた事ねぇぞ。」


シノ「間違いありませんよ、攻略踏破したのはモンスターのお陰ですけど、耳は可笑しくありませんよ?。」


ギルマス「なんてこった、これで世界で5人目の踏破者だな、過去に踏破されたのは200年前だからなぁ、そいつ等ももう生きちゃいないがすげぇ快挙だぞ!?もしこれが本当なら、これでこの国も色々な品不足から解放されるな。

おい!急いで調査隊派遣しろ!ダンジョンをくまなく調べ確認してこい、シノちゃんよ申し訳ないんだが、調査に付き合ってくれや。」


それから約一ヶ月調査に付き合った、貴重品は出なくなっていたが、余りある資源に国やギルドから感謝をされる事となり、望まぬトリプルSランクの冒険者に認定されてしまった。


同時に商人ランクもBランク認定を受ける事となった、特にレシピの提供と影響力が大きかったと思われる。


シノ「あんまり嬉しくないわね、ランクだけが独り歩きしてるみたいで嫌な感じがするわね・・・。」


ギルマス「ならカモフラージュ用にもう一つ作るか?もちろんFランクだが、昔あったんだよ騒がれるのが嫌で、カードもう一つ作れる制度がよ、良ければそれ使ってみるか?どうせ後からばれるだろうが。」


シノ「お願いしていいかしら、納得いかないのよ、こうポンポン上げられると努力した感じがしないのよね、贅沢かもしれないけれど、正直下手にチヤホヤされても居心地がよろしくないし、感謝されるのはうれしいけど、なんか違うのよね。」


ギルマス「んじゃ作っとくぜ、後は自分で努力してランク上げるんだぞ、もう一つはカードは、何かトラブルがあったときに使う事をお勧めするぜぇ、ホレ受け取れ。

奴隷を購入するんだよな、例のお前さん売った奴隷商人だったか?あそこで買うんだろう?。」


シノ「ええ、お礼も兼ねてね、購入してくるわ、いい子がいれば購入を考えてる、そろそろ旅をしたいしね、何より最初にいた場所に行って確認した事もあるのよ。」


ギルマス「そうか、数千里も離れた場所に行くのか?寂しくなるなぁ、ま、向こうでもがんばれや応援してるぞ、転移門の準備をしておく必要になったら声をかけてくれ。」


シノは奴隷商人の店を訪れる。


シノ「ごめんくださ~い、奴隷購入したいんですけど、あ、主に欠損奴隷でもいいのであります?。」


奴隷商人「これはこれはようこそおいで・・・・・・その節は大変なご無礼をいたしました申し訳ございません、犯罪に加担したのは間違いございません、言い訳はしません、覚悟はできています、どうぞこの首をお刎ね下さい。」


身体をうつ伏せにし両腕を広げ投げ出している、この世界の土下座のようだ。


シノ「ハァ~、潔いわね・・・正直思う所はあります、安全な場所まで運んでくれた事には感謝しているわ。

まさかのブ男の生贄になるとは思わなかったけど、貞操は守られたし呪いも解けたから良い様なものの、最悪場合は間違いなく貴方を殺していたわね。

ま、もう過去の事だからとやかくは言わないわ、いい加減体を起こしてちょうだい、奴隷を購入に来たのよ、男はいらないから、主に女性を見せて頂戴、出来れば病気や欠損奴隷の方を希望するわ、いいかしら?。」


奴隷商人「お許しいただけるのですか?。」


シノ「脅されては仕方ないでしょ、命大事に商人だって命がけなのよね、今回の事は許すわ、でもまた同じことは許さないわ、今度は屈強な奴隷で固めて屈しないようにしなさいな。

わかったらさっさと案内してくれないかしら、これから旅に出るのよ、お供が必要なのさっき話した内容の奴隷いるかしら?。」


奴隷商人「ありがとうございます、今後はミキハラ様の言われた通り屈強な奴隷を護衛に付けます、ではこちらにご案内いたします。」


案内された場所は、とても薄汚れた場所、皆目は濁り生きる気力を失っている、身体は垢まみれ、風呂にもいられた様子はない、明らかにその他のケアすらされていなかった。


シノ「ねぇこれは何?皆生きる気力を失ってるわね、食事は与えているの?どれも垢まみれこんなの買う人いるのかしら。」


奴隷商人「いえ、これが一般的で当たり前の扱いにございます、教育もしておりますし、私も食事を与えてはいるのですが。」


シノ「こんなドブの様な食事を?風呂にも入れず?手入れもされず放置?奴隷商人としてあるまじき最低な行為ね、最高の奴隷商人になりたくないの貴方は?。」


奴隷商人「これで当たり前なのですが、最高の奴隷商人ですか?それはどういった存在ですか?。」


シノ「これが当たり前?馬鹿言ってんじゃないわよ?最高の奴隷商人は何処に出しても恥ずかしくないように、最高に旨い食事を与え、一切の手入れを怠らない、必ず一日一回風呂に入れ身体を常に清める、部屋・寝床・服装・各自その奴隷に合わせた環境を清潔に整えるのは当たり前なの、売るだけが仕事だと思ってるんじゃないでしょうね?。」


奴隷商人「奴隷にそのような扱いが必要なのですか?ここ10年奴隷商人をしておりますが聞いた事がありませんな。」


シノ「今から貴方を指導します徹底的に、覚悟しろ、それが私に対する償いだと思えいいな?。」


軍人モードになってしまったシノ、仕方ないとは言え奴隷の扱いが酷すぎたのだ、この世界では教育はされるが、扱いは酷い。


更に1ヶ月、シノはひたすら奴隷ではなく、奴隷商人に教育を施した。

最初は逆らっていたが、徐々にその今までの扱いが可笑しい事を知り。


奴隷商人自らが奴隷達に旨い食事を作り、風呂に入れ身体を洗ってやり、大切に扱う事で今まではあり得ない程の、収入を得られるようになった。


部屋を個人の環境に合わせた物に作り替えた。

もう其処は奴隷の為の最高の教育機関であり、奴隷達が知識と力を得る場所となっていた。


元の汚い牢獄の様な場所ではない、各自に部屋が与えられ、ベットや寝間着、衣類などがしまえるタンスにワードローブ、知識を得るための本が並ぶ本棚、机や椅子、テーブルが用意されている状態、休憩時間も与えられている。


病人の為の清潔な部屋や薬等も用意された、他にも包帯やガーゼオムツ等が、医療品が倉庫に所狭しと並び置かれ、大切に保管されている。


必要であれば体を鍛える為の訓練を行う場所も用意されていた。

奴隷商人と共に奴隷の競りにも参加し、奴隷の扱いに関して本当に容赦なく徹底的に、指導を施した。

失敗すれば奴隷のごとく、奴隷商人に鞭が飛んでくると言うあり得ない環境の下、奴隷商人は矯正されていった。


奴隷商人「シノ様今回の奴隷は5億ブヒー引き取られ、身元も問題は無さそうです、無下に扱われることはないでしょう。

売る相手の事は事前に調べ上げてあります、心配は一つとしてないかと、奴隷には幸せになっていただきたいものですな。」


そこにはもう傲慢な奴隷商人はいない、忠実にしてシノの初老の執事の様な存在として成長を遂げていた。


コンドラウ国の、他の奴隷商人達も似たような状態、今や国内で奴隷の扱いは最高峰となっている、どこに出しても恥ずかしくない。

むしろ知識が豊富で判断力があり、率先して動ける行動力、戦闘の能力は異常に高い。


奴隷は、コンドラウ国外からも喉から手が出るほど欲する存在となった、しかし売られる先は、必ず身元を調べられる、そしてそぐわない者であるならば、売られる事なない。


シノ「指導も必要無さそうね、そろそろ旅にでようかしら、思ったより滞在が長くなったし、ギルマスからも職員や冒険者が増えて感謝されたけど、いい加減動かないとねぇ。」


奴隷商人「シノ様、旅に出られるのですかな?では私めと奴隷達も旅に同行したく存じます、店の方は畳みますので、どうか私共を旅の配下として末席に加えていただけませんでしょうか?。」


シノ「男はいらないんだけど?・・・・・で何人いるの?。」


奴隷商人「今後は私をヨルドと御呼びくださいませ、獣人男性5名女性10名、亜人男性5名女性10名、人間男性5名女性10名、特殊な者が女性4名、幼い子供女性が1名と、元貴族2名、 元王族女性が8名ですな。

全員で60名となります、ほとんどの者達は帝国の戦争に巻き込まれ帰る場所を失っております。」


シノ「帝国の戦争?侵略戦争でもしてるの?貴族や王族がいるのはその影響かしら?。」


ヨルド「はいその通りです、既に4つの国を併呑したようで、私の所に来た者達は、ほぼ瀕死の状態でした、シノ様のお陰で一命を取り留めた者達でございます、最後まで売られる事を拒否し、シノ様の元を離れるのを、拒んだ者達です。」


シノ「そう、最後まで残った人たちな訳ね、奴隷契約を交わしてしまいましょうか、旅に同行してもらうわ、後このせっかく整えた奴隷商館も収納ボックスにしまってしまいましょうか。

それぞれ準備をしたら外へ出て頂戴、しまってから、冒険者ギルドから転移するから一緒に付いてきてもらうわよ。」


数日後こうして旅の同行者が一気に増えた、シノ達はギルドに別れを告げ転移門をくぐる、アルギニス王国へ。


アルギニス王国で謁見をする事になった。

連れ立ってきた貴族奴隷が、なんとアルギニス王国の元姫君で、もう一人が貴族に嫁いだベレンストの元姫君との事だった。

シノは一人目の奴隷契約を解除し、女王へ返すことにした。


アルギニス女王「ミキハラ殿、前回から今回までご迷惑をおかけした、一人の母として感謝いたします。

ハウラー帝国の貴族に嫁がせたら、まさか侵略戦争を始めるとは思わなかった。

皇帝はかなりの好色家と聞き及んでいたが、娘にまで手を出していたとは、あの変体皇帝め、しかしこれで心置きなく戦えるというもの、帝国は伸縮自在の紐を開発したらしい、それを鉄の筒に鉄の槍を入れ、狙いを定めて放つ兵器のようだ。

どう作ったかは分からんが脅威的な威力だそうな、数発で砦が瓦解した報告も受けている。

まぁ、ミキハラ殿には戦争など無縁だろう、報奨金を受け取って欲しい、正直これでも足りんが10億ブヒーである、どうか其方の旅に幸があらんことを願う。」


こうしてアルギニスでの用事が終わった、次は西の国ベレンスト共和国、その途中にはシノが流れ着いた砂浜がある。

現在は奴隷達を乗せた馬車で移動中。


シノ「ヨルド、帝国はなんで戦争なんか仕掛けたのかしら?好色とか言ってたわよね、まさかとは思うけど、それだけの為に戦争してるんじゃないでしょうね?。」


ヨルド「その可能性が大いに高いかと、何より各国の姫君を娶り色事に興じているらしく、貴族に嫁がせたりと色々画策していたようで、人質としても有用だったようです。

4つの国は人質を取られ攻めあぐねいた末、併呑されたようですね。

全くもって胸糞の悪い話ですなぁ。」


シノ「今いる王族ってもしかしなくても、併呑された国の后と、人質だった元姫達が奴隷に売られてきた元王女達?。」


ヨルド「はいそうなります、用が無くなったらポイ捨て、壊れたら同じく売られたかと、惨たらしい事です、許せませんな、売られ流れてきたのが、私の店でよかったのかはわかりませんが、少なくともシノ様に命を救われましたな。」


シノ「よかったのか悪かったのか、称号が変な仕事してそうで嫌だわ、少なくとも奴隷達は帝国を恨んでいるという事かしら。」



シノよ、砂浜で面白い事が起きそうだぞ?、シノ「え?もうお腹いっぱいなんだけど?許してもらえない?あ、ダメそ?。」

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