第5話 金継
カタコトカタコト。
微かな揺れを感じてやおら開けた
幌馬車の中ですよ。
出発時間が早まって紫宙を迎えに行ったのだが、いくら呼びかけても起きなかったので、幌馬車の中のベッドに寝かせて旅を始めた事。
琉偉と
旅の最中に羅騎が東方の国で会得した金継ぎの依頼を受けて稼いでいる事。
金継ぎとは欠けたり割れたりした器を漆という漆の木の樹液を使って修復する伝統的な技法の事。
具体的には。
いち。
破片の断面を面取りの粗いダイヤモンドヤスリで行い、断面に
に。
水で練った小麦粉に生漆を加えて「麦漆」という接着剤を作り、麦漆を破片同士の断面に塗りしっかり貼り合わせて漆室で一週間かけて硬化させる。
さん。
硬化後、はみ出た麦漆をナイフで削ったり、耐水ペーパーで研いだり滑らかにする。
よん。
接着後に欠損部分が見つかった場合は、下地やパテになる「
ご。
接合部分や錆漆で埋めた部分に
ろく。
「
完成までに約十三日間かかり、依頼を受けて器を手渡すまではその場に留まる。
瞳の色を爛々と輝かせながらやおら言葉を口にする琉偉を、ベッドに横たわったまま見つめていた紫宙。次いで開かれている幌から御者台に座って馬を操る羅騎を見て、微笑を浮かべるのであった。
(2025.4.16)
(参考文献 : https://minne.com/mag/articles/2446?srsltid=AfmBOoqg9wa3lVZDxjhRVta_GrDReeZZn7nSO9BO8kivyqBEcmmixnbg)
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