【短編】ミヤコワスレ【完結】

如月(・∀・)

ミヤコワスレ

第1話

都瑚みやこお見送り行かないのー?!」

「行かなーい!」


4月2日に生まれた私は、

4月1日に生まれた彼に、一生追い付かない。




たった1日違いなのに、彼はまた先に行ってしまう。




『俺、県外の大学行くんだ。』


幼馴染。

出会った時から大好きだった。

温かくて優しい手。キラキラの笑顔。

それはずっと変わらないのに、

身長も大きく、たくましくなった彼。


たった1日違いなのに、

彼はずっと、私の先に行く。

私はそれをずっと後ろから追いかける。

小学校も中学も高校も追いかける。


そして今も、

高校3年生と大学1年生になろうとしている。


たった1日違いなのに、彼は私を、妹扱いする。



「お父さんとお母さん、

 おうちゃん見送り行ってくるからねー?」

「わかったから!!もー!

 いってらっしゃイーーーーー!」


今日はそんな桜助おうすけが、

1人暮らしのアパートへ引っ越す日。


意地でも行ってあげない。

ずっと私を妹扱いしてきた罰だ。



私の気持ちなんて、微塵も知らずに。



部屋の片隅に飾られた、ミヤコワスレ。

私の、4月2日の誕生日花。私の大好きな花。

そして花言葉は、『別れ。短い恋』


……私にぴったりじゃん。

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