第2話

たった1日。

だけど、埋められない1日。


生まれた年は一緒なのに、1日違うだけで

桜助君はお兄さんと呼ばれるし、

私は妹でしかなくなる。


「ミャコは俺の妹みたいなもんだから。」


そう言いながら、

あの時よりも大きくなったけど

あの時と変わらない温かくて優しい手で頭を撫でられる。



そんな日々に慣れきった、高校2年生の冬。



おうちゃんママからLIME来たよ!

 大学受かったってー!」


もう、知ってる。

LIMEで、お母さん達の情報網より早く、

なおかつご本人から伝えられた。


桜 {大学受かった!イエイ!😊🌸


よかったね、おめでとう}都


そっけない返事してしまった。

可愛げないとか思われしまっているだろうか。

初めて出会ってから、約11年の歳月が流れ

同い年なのに、彼は先に大学生になろうとしていた。


『俺、県外の大学行くんだ。』


1学年違うだけで世界が違ったのに、

もっと遠くへ行こうとしてる桜ちゃんに腹が立つ。


「私の気持ちなんて微塵も知らないくせに。

 なにが、イエイ!、だ。」


ソファに寝転びながら、携帯をポーイと乱雑に放り投げる。

テーブルの上には『進路希望調査票』が置かれていた。

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