ミヤコワスレ~長編~

第1話

私に、好きな子ができた。


近所の男の子。

誕生日は1日違い。

身長も一緒くらい。

温かい優しい手。

キラキラの笑顔。


出会った瞬間から大好きになった。





「え!?学年1個上なの!?」


賑わう公園のベンチで

お母さん同士が何やら話している。


新しい大きなお家を建ててから、知らない街へ来て早1週間。

近くの公園で、沢山遊んでお友達作ろうね、と言われて

年の近い子と沢山遊んで、沢山友達になった。


その中で特に仲良くなった、

桜助おうすけ君のお母さんと私のお母さんが

目を丸くして悲鳴に近い、大きな声をあげている。


「こっちもビックリだよー!

 だって都瑚みやこちゃん、今1年生って言ってたから

 4月から同じ新2年生になるのかと思って…」


「あー。今曖昧な時期だからね…。

 厳密には”4月から”新1年生なんだよね…、

 本人は卒園式やったからもう1年生だって張り切ってるけど。

 私の方も、都瑚が『誕生日も1日違いだ!』ってはしゃいでたから、

 てっきり同学年かと思っちゃってた~。」


「それがねー。ややこしいんだけど、桜助、4月1日生まれで、

 ギリギリ早生まれの子の仲間なんだよね~。」


「そっちかー。うちは4月2日生まれだから、

 1学年下になっちゃったのか~。惜しかったな~。

 せっかく入学前に同学年の優しいママ友作れたと思ったのに~。」


「やだ、嬉しい。

 けど、学年違ってもご近所だから。また一緒に遊んでやってね。」


「こちらこそ。都瑚もすっかり桜助君に懐いちゃって。ふふ。」


この時は、お母さん達が言ってる意味が全くわからなかったけど、

入学式でどんなに探しても、大好きな桜助君は見つからなかった。

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