ループする暴力の刹那

  • ★★★ Excellent!!!

 いかなる不可思議の仕業か、同じ時間の繰り返しの中にとらわれた殺し屋。彼はターゲットを手を変え品を変え何度も何度も殺す……
 タイムループものは数多くありますが、その多くでは「いかにしてループを脱出するか」が眼目となります。しかし、このお話ではそうではない。主人公はループから逃れるつもりがなく、むしろ積極的に楽しんですらいます。そして、それを邪魔するものは何であっても排除しようとする……
 この主人公にとっては「いま」しかないのだと感じます。過去も未来もなく、ただ「いま」という刹那を生きている。だからこそ彼はループを恐れない。ループから逃れようとしない。彼にとってはたぶん、これまでの人生と大して違いがないから。過去も未来も意味をもたぬなら、時間がループしていようと大した問題にはならないのです。
 主人公は全力で「いま」を生き、残忍凶悪の暴力の限りを尽くします。それがたとえ無益な「二の舞」であろうと、彼にとっては関係ない。ただ現前する「いま」に、彼は全身全霊で向き合っている。その姿に、奇妙な爽快感を感じずにはいられないことでした。