最強天使の異世界攻略 ~答えなき疑問と終わりなき演算~
ワッフルEX
第1部
プロローグ
第1話 異世界攻略の旅
生物のいなくなった世界…
崩壊したビル郡の中、容姿のない白き巨人が、不気味に立たずんでいた
あれが、この世界のラスボス…すべての生命を束ね、それで初めて実体化することができる存在
人類統合概念体『人』
すべての生命が、文字通り1つにならなければ誕生することができず、生命が1つしかいなくなれば、それは観測されず存在を維持できない
本来なら、そういう理由で現れることができない存在。それに相対するは、この世界の外からやってきた故に、束ねられる生命にカウントされなかった旅人
大気圏にも届いている巨体を前にしているのは、身長163cmの緑髪の少女。ウチのことだ
「これを倒せば、この世界も完全攻略か~。ローファンタジーにしては、結構規模がデカかったな~」
2つのロボット企業の対立から始まり、AIの暴走、人類を上位の存在にしようとするカルト教団の登壇で、全生命の統合…まさか、ここまで大きくなるとは…
異空間から、この世界で愛用していた2丁拳銃を取り出す
この2丁の銃は充電式の電気銃なので、実弾は放てないが、ブレードモードが搭載されているのだ
2丁拳銃から二刀流に切り替えられる…なんか、カッコいいと思って、手に入れてからずっと使っていた
しかし、この戦闘が終われば、この愛銃もウチの異空間倉庫の奥にしまわれ、使わなくなっていくのだろう
ならば、最後の花火として、ド派手にやるとしよう!
相手は全生命体を束ねた概念体…つまり、この世界の全人類と同じ強さということ…
いいじゃん、いいじゃん。ラスボスっていうのは、こうでなくっちゃ…
「さあ、攻略開始よ!」
ウチは『人』に向かって近づき、攻撃を開始する…
◇◇◇◇
「楽しかった~」
戦闘後、『人』は盛大に爆発し、粒子状となって、次第に、束ねられていた生命体の姿へと戻っていく
もちろん、この世界を生きている多くの人間たちも、元通りの姿で、地面に倒れていた
「これで、終わりだね。裏ボスいないっぽいし」
2丁の愛銃を近くの石の上に置いて、今までの感謝を込めて優しく撫でた
「今まで、ありがとう。他の相棒と仲良くね」
そう言い、2丁の愛銃を異空間へとしまった。次に取り出すのは、似たような世界を攻略するときだろう
「さて…」
背後に振り向く。そこには、この世界で出合ってきた多くの仲間達が待っていた
こうして、この世界での物語は幕を下ろした…
◇◇◇◇
無数の色彩が浮かんでいる、真っ白な空間
ここは「物語の狭間」とでも言うのだろうか?
正式な名前なんかは無いが、まあ、名前通りの場所という解釈で問題ないだろう
物語と物語。世界と世界を阻む、虚無の壁の中…それが、この空間の状態であり。宙に浮いている無数の色の光が、物語となりえる世界そのものだ
そしてウチは、この場所を通じ、多くの世界と物語を渡り歩く、しがない旅人だ
目的も特にない。強いていうなら『目的を見つけ、達成する』のが目的だろうか?
色々な世界を攻略するのが、ウチの生きがいなのだ
白色な空間を歩き、面白そうな世界を探す…
「さっきまでの世界はサイバーパンクな世界だったし、今回はゴリゴリな異世界ファンタジーがいいかな~?」
しかしながら、THEファンタジーな世界は普通に多く、その中から決めるときは、正直適当に決めてる
人気なジャンルと世界の誕生は比例している
どこかの世界で『ファンタジー』が人気となれば、それが電波し、他の世界でも人気となり。ファンタジーの世界が増える
しかし、今人気の異世界ファンタジーの物語は、登場人物や主人公で差別化しているが、世界観は大抵どこも同じなのだ
「まあ、これでいいかな?」
とりあえず、近くに浮いていた『ファンタジー世界』の光に触れようと、手を近づけた…しかし
「?!」
ウチの手は、『ファンタジー世界の光』の少し上空に浮いる、青黒い光から生えてきた触手に絡み捕られた
「なにこれ?!」
多くの世界を旅してきたが、こんなことが起こったのは今回が初めてで、かなり動揺をしている
しかし、これが何なのかは分かった。これは『因果』だ、ウチが関わりを持つことを強制される程の存在が、この世界の中にいるのだろう
無理やり身体が引き上げられ、青黒い光に近づいていく。このままでは、青黒い光の世界に飲み込まれる
「くっ!」
全力で抵抗するが、それでも触手は放してくれないし、ウチの『切り札』以外の力は何故か使えない
仕方ない、世界の方がお呼びならば、抵抗するのは諦めよう。次に攻略する世界はこの世界にしよう
そう思い、青黒い光に目を向けて。自分の意地で、その光を掴んだ
強い光が、ウチのことを飲み込む…
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