第3話 喫茶店でのひと時(side:あかり)
今日はまなみが和樹からパフェを奢ってもらうそうで、まなみから『お姉ちゃんも来ない?一緒に奢ってもらおうよ』と誘われたため、ご相伴に預かる事にした。
喫茶店に着くとそれぞれ注文をする。まなみはお目当ての【夏季限定!サマージャンボパフェ】と何故か宝くじを思い起こさせるネーミングのパフェを頼んだ。私はケーキセットにアイスコーヒー、和樹はアイスコーヒーだけを頼んでいた。
程なくしてテーブルに頼んだ品が並べられる。まなみは甘いモノに関しては本当に目が無く、普段は食べ物の写真を撮るような真似はしないのに今日はパシャパシャと色んな角度からシャッターを切っている。
そして桃とアイスをスプーンに取り口に運ぶと、今にも蕩けそうなほど幸せそうな顔をしていた。
『んーーーっ♪アイスは濃厚なのに食べやすいし、果物は甘くて瑞々しくって…手が止まらないよー!あ、和兄ぃ?そんな目で見てもあげないからね?』
「いやいいよ…まなみが全部食べればいい」
『ふーん、それじゃあ遠慮なく…パクっ、うーんやっぱり美味しいー♪』
私も甘いものは好きだけど、まなみほどではない。和樹はそこまで甘いモノ好きではないのを知っているので、私は敢えてチーズケーキを頼んだ。和樹にも分けてあげるためにね?
『和樹…はい、あーん♪』
「ん?ああ、悪いな。あーん…パクっ」
『あぁっ、お姉ちゃん何してるのっ⁈』
『何って…見ての通りだけど』
普段は気が回るまなみも甘いモノが好き過ぎて、和樹に分けて食べさせるという事に頭が回らなかったんだろう。
『和兄ぃにも食べさせるために、わざとチーズケーキを選ぶなんて…私とした事が!和兄ぃ、口開けて!』
「え?んぐっ!……美味い」
『でしょ?』
私に対抗意識を燃やして、まなみは果物を二切れほどスプーンに乗せて和樹の口の中に突っ込んでいた。こういう所はまなみも年相応なんだなぁと思う。
和樹が好きだという気持ちに気付いた私にとって、まなみは恋敵でもあるけれど…昔みたいにこうして三人でいれるのは本当に楽しくて夢みたい–––。
『そう言えばお姉ちゃんは先輩と付き合ってる時、今みたいにあーんしてあげた事ってあるの?』
『え?ううん、そういうのは全然無かったわね…喫茶店でお茶を飲んだりぐらいはあったけど』
『ふーん』
自分から聞いておきながら、まなみはすぐに興味を失い残りのパフェを平らげにかかる。
話題に出た先輩との事だけど…まなみと和樹をシェアするようになって、和樹への気持ちに気付いてすぐに別れる事にした。
◆
『先輩…その私の勝手で本当にすみませんでした』
「いや、いいんだよ。最初から僕に目が無かったんだと思う事にするさ。彼と…お幸せにね」
◆
結局、和樹の事を好きだった事に気付いて別れ話をしたというのに…先輩は文句一つ言わずに受け入れてくれた。
(寂しそうな顔をしていたけど、どこかスッキリした表情にも見えた。それだけ私の身勝手な行動で苦しめていたんだろうな…)
先輩の事を思うと胸が痛くなる––––でも、だからこそ…今度は間違わない。ただの幼馴染ではなく、大好きな和樹の恋人として隣に立つんだ。
その為には例えまなみ相手でも負けたくない。かつては和樹に甘えるばかりだったけど、逆に和樹を甘えさせたり私に出来る事はなんでもやっていきたい。
…なんて考えていたものの、まなみが見たという夢の話を聞かされてすぐにその事で頭がいっぱいになってしまった。
『和樹が…交通事故に遭う夢?』
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[あとがき]
ここまでお読みいただきありがとうございます!3話までは導入部分というか、折角書いた予告を活かそうとしたらこんな感じに…。
話が動き出すのは次話からとなります!次の公開予定をお楽しみに⭐︎
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