第12話(IFルート①)
※アンケートへのご協力ありがとうございました。①②どちらも見たいという事で、まずは①のあかりに子供が出来たルートから始めます(温泉旅館で交わった一日で出来た場合です)
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(side:和樹)
俺はやってしまった––––と後悔をしながら家の中に入ると、まなみが出迎えてくれた。
「ただいま……」
『おかえり、和兄ぃ。何もなかった…って事は無さそうだね?その様子だと』
俺はまなみに対して包み隠さず旅館であった事を伝えた。ただ…流石にあかりとの相性の良さを思い出してしまった事に関しては、伝えるに伝えられなかった––––。
『そっか…やっぱりそうなっちゃったんだね。今回は私が持ち掛けた事だし、和兄ぃは気にしなくていいから』
「す、すまん…」
『でも…次は無いからね?分かった時点で即離婚だから。例え浮気相手がお姉ちゃんだとしても』
まなみは約束通り、今回の過ちに関しては水に流してくれた。ただあくまでも今回だけであって、万が一にも同じ事を繰り返してしまったら…まなみは本当に容赦しないだろう。
ただもし、あかりにまた求められたとしたら…俺は非情に徹する事が出来るだろうか。不安は残るものの、気を強く持つしかないと日々を過ごして行った––––。
◆◇◆◇
あかりと温泉旅館に行ってから三ヶ月が過ぎた。あかりは…妊娠していた。
少なくともあかりが地元に帰って来てから性行為を行ったのは、あの時だけだという––––つまり、間違いなく俺の子という事だ。
まなみは乾いた笑みを浮かべながら『出来ちゃったものは仕方ないよ。お姉ちゃんは子供が欲しいって迫って来た時点で、避妊する事はまず無いだろうし』と呟く。
隠している訳にもいかず、俺の両親やあかりやまなみの両親にも話が伝わった。俺の両親からはこっぴどく叱られたが、まなみが自分の責任でもあるから…と執り成して事なきを得た。
相澤家の義両親は、俺の咎はあるもののあかりがしでかした事でもあるため強く責めたりはしてこなかった。ただ二人とも…酷く困惑していたようだ。
そして当のあかり本人はと言うと––––。
『勿論産むに決まってるよ。私一人でもちゃんと育ててみせるから』
子供を育てる覚悟を決めた事で、俺への想いが中和されたようだ。まなみや俺にとっては良い事の筈だったが––––。
◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇
(side:まなみ)
お姉ちゃんは子供が産まれてからおかしくなっていった。ううん…違う、赤ちゃんが産まれた時には既にそうだったのかもしれない。
元気な男の子を出産した、お姉ちゃんを訪ねて病院に行った時の事だ。
『なんて名前にしたの?』
『かずきって言うんだよ。可愛いでしょ?』
瞬間、その場が凍り付いた。聞き違いなら良かった…だけどお姉ちゃんは間違いなく、好きな相手でその子の父親の名前をそのまま付けたんだと思う。
和兄ぃの代わりに愛を注ぐために––––。
実際、お姉ちゃんの子供への愛情は凄まじかった。時々赤ちゃんを連れて家に遊びに来たんだけど、片時もその子の事を離そうとしなかった。
お姉ちゃんは本当に自分の子供の事しか見ていなかった。私や家族だけでなく、和兄ぃの事でさえ…。
会う度にお姉ちゃんの異常な程の溺愛ぶりは増していく。私も和兄ぃも手の付けようが無くなり、困り果ててしまった。
しかしお姉ちゃんの育児休暇もそれほど長くは無い。間も無く子供が一歳を迎えるにあたり、今後はどうして行くのか?という話し合いを家でする事になった。
『私は仕事を辞めてでも“かずき”と一緒に居るから!誰にもこの子は渡さないから!』
お姉ちゃんの主張はこの通りで、話し合いは平行線を辿る。皆ほとほと困り果て、これ以上どうしようかと思っていた所にあずみが話し合いをしていた部屋に入って来た。
『あかりママと…あかちゃんだ!』
『あずみ、まだ話は終わってないから部屋に戻ってなさい』
私の制止も聞かず、あずみは久しぶりに会えたお姉ちゃんに向かって歩いて行く。
自分の子供が出来てからのお姉ちゃんは、あれ程可愛がっていたあずみの事も全く目を向けなくなった。私にはあずみを避けているようにも見えたけど…。
今年、幼稚園の年長組に上がったあずみは和馬によくするようなお姉さん風を吹かせながら、男の子に話しかけていた。
『わたしはあずみ。あずみおねーさんですよ。あなたのおなまえは?』
『こ、こら…勝手にかずきに話しかけないで⁈』
『ふーん、かずきっていうんだ?おとうさんとおんなじなまえー』
あずみはそのまま顔を近づけて笑ってみせた。するとお姉ちゃんの子供も笑顔を見せ始めた。
「きゃっ、きゃっ♪」
『えっ…かずきが、私以外に笑いかけた?』
『だってわたしおねーさんだもん。かずまのことだってわらわせてあげられるんだから!しらなかったでしょ?あかりママ』
自慢げにお姉ちゃんを見るあずみだったが––––お姉ちゃんの雰囲気が変わった?しっかりとあずみの事を見てる?
『そっか…大きくなったね。偉いね、あずみちゃん』
お姉ちゃんがあずみの頭を撫でると、あずみはお姉ちゃんに抱き着いていた。まるで以前の光景のように––––。
『良かった…お姉ちゃんが帰ってきた…』
「そうだな…あずみのお陰だ」
どうしてかは分からないけど、あずみのお陰で元のお姉ちゃんに戻ったみたい。その後は話し合いも進み、お姉ちゃんは子供と一緒に実家に帰って来る事になった。
昔みたいに家族みんなで暮らせるんだ、って思うと悪い事だけじゃないんだなと思えた––––。
余談だけど、和兄ぃとかずきの名前が紛らわしいため、私以外からは和樹パパと呼ばれるようになった。
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[おまけ]
お姉ちゃん達が実家に戻って来てから、お姉ちゃんが変な事をし始めた。かずきを寝かしつけた後、こっそりと私と和兄ぃの夜の情事を覗くようになったのである。そして一人自分を慰めるという、変な性癖に目覚めたらしい。
「まなみ…いい加減、あかりを止めないのか?」
和兄ぃの上で腰を振る私に向かって話しかける。私の動きに合わせて突き上げて来るため、私もそろそろ限界が近い。
『んんんっっ…!だ、だってお姉ちゃんに見られながらしてるって思うと、あぁんっ!凄く感じちゃうからっ…』
お姉ちゃんだけでなく、私もシてる所を見られて興奮するようになっていた。お姉ちゃんの指の動きも激しくなり、喘ぎ声も大きくなる。
そして私とお姉ちゃんは同時に達してしまう。変な所だけ似た物姉妹なんだよね、私たち–––––。
〜fin〜
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[あとがき]
これでIFルート①は完結です!ここまでお読みいただきありがとうございます(* u.u))
当初はそのままメリバ(メリーバッドエンド)で終わらせるつもりでしたが、なるべく後味を悪くしたくなかったのでこんな感じになりました。
最後はエロネタでお茶を濁してしまいましたが…IFルート②は8/7(木)にアップ予定です。
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