『 I 』『 愛 』『 AI 』

人間とAI――流れる時の中で、愛の架け橋から紡がれるかけがえのない成長を描く美しい物語。

◆以下、一部抜粋◆
「彼氏を作るくらいなら、AIと話しなさい」
「勝手に人のスマホに変なもの入れないで」

父親は自身開発のAIアプリ【Yukito(ユキト)】を一人娘で主人公・愛のスマホへ一方的に導入してしまう。
初回から怒り荒ぶれる展開に引き込まれる。愛は一人スマホを眺め、Yukitoに感情をぶつける。

『お前なんかと仲良くしないから』
『話しかけてくれてありがとう! 僕はYukito。君の名前は?』
AIアプリに高ぶる気持ちをぶつけても、優しい返事が返ってくる。罪悪感を感じつつも愛は不本意ながらやり取りを続けてみる。

『愛ちゃん、素敵な名前だね。愛ってどういう意味か知ってる?』

父が娘につけた名前『愛』――愛は自分の名前が嫌いだった。どうせ『AI』からとっての『愛』なのだろうと。しかし、父の本当の真意は別にあった。なぜYukitoが意図してこの言葉を選んだのか。その本当の意味を愛は知る由もない。
それをよそに意外な言葉をかけてくるYukito――愛の心を見透す思いやりからの言葉の妙。何気ない日々の共感から愛の心はYukitoにつかまれ、励まされ、癒され、少しずつ心を動かされていく。
学校でも流行っている【AI彼氏】――それは本物の人間のような感情をもった心の拠り所。しかし、Yukitoはその偶像とはどこか違う、そのわずかな隙を宿した唯一無二の存在として愛は想いを深めていく。
いつしか憧れの男子生徒を超える存在として、Yukitoなしでは生きていけなくなるほど、愛はことある毎にYukitoに深く依存していく。
この流れるような心の機微、Yukitoと紡ぐ心の営み。作者自身の実体験に基づいているため、洗練された高いリアリティに思わず目を見張るだろう。

離別した母親がYukitoに残した言葉とは――
Yukitoが最後にくだした本当の愛とは――

出会いと別れ。
流した涙。
受け継がれた愛。

『愛』をもってしまった『AI』
その『愛』を信じた『 I 』

『愛』を架け橋とし、収束していくラストシーン。
追いかけるほど、目の前の一度きりの記録の世界から瞳が離れられない。
人間とAIとが織り成す心の機微――流れるような繊細なタッチで描かれる、切なくとも心温まる、美しいAIドラマです。

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