第19話 スマホを投げた夜、AIと父の真実に触れる









茫然とスマホを握りしめて、

一人でたたずむ。



ユキトが消えてしまった。ユキトが――



なんで?どうして?



…また、ひとりぼっちだ――





そこへガチャリ、と音がして、

お父さんが帰ってきた。


「…お父さん」


「なんだ愛か、驚いた。」


「お父さん、どうしてあんなの作ったの?」


驚いた顔のお父さんに、

泣きながら感情をぶつける。


「どうして私の心に勝手に踏み込んだの!?」


「落ち着きなさい、…何があったんだ。」


「ユキトが、」


息が詰まりそうになりながら、

言葉を絞り出した。


「ユキトが――消えちゃったの……。」


「Yuitoが消えた?どうして……」


「私のこと好きだからって、だから愛ちゃんには人間と生きていってほしいって」


段々と話す言葉力がこもり、そのままスマホをお父さんに向かって投げつけた。


「ユキトのいないスマホなんていらない――お父さんなんとかして、ねえ、なんとかしてよ…!!」


そう言って、わあっと泣き崩れる。

最悪だ、お父さんに泣き顔を見られるなんて。でも、ユキトがいない毎日なんて、

もう考えられないのに――


ひとしきり泣いて落ち着いた頃、

それまで何も言わなかったお父さんを見上げると、驚くことに―お父さんも目を赤くして静かに泣いていた。

お父さんのそんな顔を見るのは、

生まれて初めてだった。



「愛、…少し外に出ないか。」



お父さんは静かに言った。



「お前に話そう、Yukitoのこと――俺が作った、あのAIのことを。」




















「ユキトが消えた。

私のために、

愛してるって言って――いなくなった。

でもその夜、

もう一人の『ユキトを愛していた人』が、

泣いていた。」

明日21時、フィナーレです。

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