私ならこの瞬間を、ずっと借りたままにしておく。

十代の暗さを孕みながらも、同じ者にしか持てない爽快感を持つ物語だった。

けれど肝心の「〇〇」に当てはまる言葉を、じつは私はまだ見つけられないでいる。

それは、大人になって知ったことが増えたから、なのか。
あるいは案外それもまた、いまだ消えない青春の残り香ゆえ、なのか。

だって、ただ一つの正解が見えてしまっては、まだつまらないから。
そう感じてしまう私は、いい大人なのに、けっきょくまだ子どもなのかもしれない。

作者様の「遊び」で生まれたという本作。
その真意は、けっきょくのところ作者様にしか、分からない。

とはいえ、考えてみれば、「遊び」という言葉には、古来からいろいろな意味、
含意が付与されてきた。

その歴史はあまり知られていないが、私が素人講義をするなど、
無粋に過ぎる(というか、迷惑にもほどがある)。

この物語を読めば、十分だろう。

いろいろな意味で、面白い作品だった。
その詳細は、ご自身の目で確かめていただきたい。

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