第44話
高井まどかと高橋香織は、グラスを空け、互いに顔を見合わせた。時間は既に深夜を回っていたが、二人の間には、まだまだ飲み足りないという雰囲気が漂っていた。
高井まどかは、少し躊躇しながら、高橋香織に尋ねた。
「……高橋さん、もう一件、行きますか?」
高橋香織は、目を輝かせ、即答した。
「はい!ぜひ、お願いします!」
高井まどかは、苦笑いを浮かべた。高橋香織の、意外なほどのノリの良さに、少し驚いていた。
「……分かりました。では、行きましょうか」
高井まどかは、立ち上がった。
高橋香織は、嬉しそうに、高井まどかの後を追った。
店を出ると、高井まどかは、タクシーを拾い、行き先を告げた。
タクシーの中で、高橋香織は、高井まどかに、そっと耳打ちした。
「……高井さん、お勘定は、当然、社長のカードですよね?(笑)」
高井まどかは、ニヤリと笑った。
「……もちろんですよ(笑)でも、これは、内緒ですよ(笑)」
高橋香織は、目を丸くした。
「……え?いいんですか?バレたら、社長に怒られませんか?」
高井まどかは、いたずらっぽい笑顔を浮かべた。
「……大丈夫ですよ。社長は、お酒が入ると、意外と、甘いんです(笑)それに、高橋さんのためなら、きっと、許してくれると思いますよ(笑)」
高橋香織は、感心したように頷いた。
「……なるほど。さすが、社長の秘書ですね。よく分かっていらっしゃる(笑)」
高井まどかと高橋香織は、顔を見合わせ、クスクスと笑った。
タクシーは、夜の街を走り抜け、ネオン輝く繁華街へと向かった。
二人が向かったのは、落ち着いた雰囲気の、大人の隠れ家のようなバーだった。
バーカウンターに座ると、高井まどかは、慣れた手つきで、カクテルを注文した。
高橋香織は、メニューを眺めながら、高井まどかに尋ねた。
「……高井さんは、いつも、こんなお店に来るんですか?」
高井まどかは、カクテルを一口飲み、答えた。
「……ええ、たまに、一人で来ることもあります。仕事で疲れた時とか、気分転換したい時に、ここに来ると、心が落ち着くんですよ」
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