第34話
アトリエ・シノハラの再建、そして菜々美の代表就任のニュースは、瞬く間にファッション業界を駆け巡った。特に、かつてアトリエで働いていた人々にとっては、衝撃的なニュースだった。
都内の一角にある、少し古びたオフィスビル。そこには、かつてアトリエ・シノハラの受付を務めていた、佐藤ひとみと田中直美が働いていた。
「ねえ、見た?シノハラ先生の記者会見!」休憩時間、佐藤ひとみが、スマホの画面を田中直美に見せた。
「見た見た!マジでびっくりした!まさか、あの菜々美ちゃんが、アトリエの代表になるなんて!」田中直美は、興奮気味に言った。
「えー?マジ?(笑)あの菜々美ちゃんが?(笑)」佐藤ひとみは、信じられないといった表情で、スマホの画面を食い入るように見つめた。
「そうだよ!しかも、シノハラ先生が会長だって!なんか、すごい展開だよね。」田中直美は、目を輝かせた。
「だって、菜々美ちゃんって、昔、アトリエで、お茶くみとか、雑用とかしてた子でしょ?それが、いきなり代表になるなんて、シンデレラストーリーじゃん!」佐藤ひとみは、驚きを隠せない。
「そうそう!しかも、めちゃくちゃ可愛い子だったよね。スタイルも良かったし。でも、まさか、あの子が、シノハラ先生の娘だったなんて、全然知らなかった!」田中直美は、感嘆の声を上げた。
「私も全然知らなかった!だって、名字も違うし、シノハラ先生って、独身だと思ってたもん。」佐藤ひとみは、首を傾げた。
「あの時、菜々美ちゃんに、サインもらっておけば良かった!」田中直美は、悔しそうな表情で言った。
「ばかね!今からでももらいに行こう!」佐藤ひとみが、冗談めかして言った。
「やめなさいよ(笑)みっともない(笑)」田中直美は、笑いながら、佐藤ひとみをたしなめた。「でも、本当に、すごいよね。あんな普通の女の子が、いきなり、ファッションブランドの代表になるなんて。」
「うん、すごい。私も、ちょっと見直したわ。これからは、菜々美ちゃんのこと、菜々美社長って呼ばなきゃ(笑)」佐藤ひとみは、笑いながら言った。
「それ、いいね!私も、そう呼ぼう!それにしても、アトリエ・シノハラ、これからどうなるんだろうね?また、昔みたいに、華やかになるのかな?」田中直美は、期待を込めて言った。
「そうだといいね。私も、また、アトリエで働きたいな。」佐藤ひとみが、呟いた。
「私も!もし、募集があったら、応募してみようかな。」田中直美は、夢見るような表情で言った。
かつての同僚たちが、アトリエ・シノハラの再建を喜び、新たな未来に期待を寄せている。その事実は、こずえと菜々美にとって、大きな励みとなるだろう。
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