第21話。意外な結末
7SEEDS貿易センタービルでの出来事:早朝、静寂を破る騒動と、意外な結末
第二幕。7SEEDS貿易センタービル。(前回までのあらすじは省略)
「……噂をすれば影、ね!」直美が受付の窓から外を眺め、小さく呟いた。
「え?どうかしたの、直美?」ひとみが訝しげに尋ねる。
直美は興奮を抑えきれない様子で、小声で囁く。「来たわよ!片岡菜々美さん!」
ひとみは驚いて直美の視線の先を追う。ロビーの自動ドアが開き、見覚えのある、朴訥とした雰囲気の若い女性が立っている。昨日、高井まどかのせいで7時間も待たされることになった、片岡菜々美だ。
「えっ、もう来たの!?10時からじゃなかった?」ひとみは驚きを隠せない。
「そうなんですよ!先生(社長のこと)、今日菜々美さんが来るって知ってたんでしょうか?」直美は不思議そうな顔をする。
ひとみは肩をすくめて答える。「まさか!先生が知ってるわけないでしょ。きっと、アテもなく突撃してるだけよ(笑)。あの頑固さからして、一度会うと決めたら、何が何でもって感じじゃない?」
菜々美は少し緊張した面持ちで、受付へと近づいてくる。その手には、丁寧に包まれた小さな包みが握られていた。
「あ…あの…おはようございます…」菜々美は訛りの強い言葉で、控えめに挨拶をした。
ひとみは笑顔を作り、冷静に対応しようと努める。「おはようございます。片岡菜々美さん、ですよね?本日の社長とのご面会は、10時からとなっておりますが…。」
直美も心配そうに菜々美を見つめる。「あの…まだ、営業時間前なんですが…。」と、優しく諭すように言った。
菜々美は少し戸惑った様子を見せたが、すぐに笑顔になった。「あ、すみません!警備の方に、もうロビーで待ってても良いって、オーケーもらったんです!」
その言葉を聞いたひとみと直美は、顔を見合わせてクスクスと笑い出した。
「あっ!もしかして、昨日の…」直美が笑いを堪えながら言うと、
「ガードマンのお二人ね!」ひとみが笑いながら付け加える。「ご苦労様、って感じよね(笑)」
菜々美は二人の様子を見て、少し恥ずかしそうに、でも嬉しそうに微笑んだ。「ご迷惑おかけして、すみません…。」
7SEEDS貿易センタービルでの出来事:早朝、静寂を破る騒動と、意外な結末
(菜々美が受付に到着し、警備員に許可を得ていることが判明した場面から)
「ご迷惑おかけして、すみません…。」菜々美は少し恥ずかしそうに、でも嬉しそうに微笑んだ。
「いえいえ、昨日は大変でしたよね。お疲れ様でした。」ひとみは同情するように微笑み返す。
「あの…でしたら、ここで少し待たせてもらいます!」菜々美は少し緊張した面持ちで、それでもはっきりと告げた。相変わらず、意思の強そうな瞳だ。
その言葉を聞いたひとみと直美は、再び顔を見合わせて微笑んだ。昨日、7時間もロビーで待ち続けた彼女のことだ。一度決めたら、何があっても諦めないのだろう。
「わかりました。こちらでお待ちくださいね。」ひとみは優しく頷き、菜々美にロビーのソファを勧めた。
「頑張って!」直美は明るく声をかけ、菜々美を励ました。
菜々美は小さく会釈し、ロビーのソファへと向かった。丁寧に包まれた包みを膝の上に置き、姿勢を正して静かに座っている。その姿は、まるでこれから始まる運命の瞬間を待ちわびているようだった。
受付に戻ったひとみと直美は、再び小声で話し始めた。
「ほんと、すごい子だよね。あんなに待たされて、普通なら怒って帰ると思うのに…。」直美は感心したように呟く。
「だよね。それに、昨日の高井さんのミスを、あっさり許しちゃうなんて、なかなかできることじゃないわ。」ひとみも同意する。
「なんか、応援したくなっちゃうね!10時の面会、うまくいくといいな。」直美は目を輝かせる。
「私もそう思うわ。7SEEDS貿易センタービルに、新しい風を吹き込んでくれるかもしれない。」ひとみは期待を込めて、ロビーで静かに待つ菜々美の姿を見つめた。
(菜々美がロビーで面会を待っている場面から)
受付に戻ったひとみと直美は、再び小声で話し始めた。
「ほんと、すごい子だよね。あんなに待たされて、普通なら怒って帰ると思うのに…。」直美は感心したように呟く。
「だよね。それに、昨日の高井さんのミスを、あっさり許しちゃうなんて、なかなかできることじゃないわ。」ひとみも同意する。
「なんか、応援したくなっちゃうね!10時の面会、うまくいくといいな。」直美は目を輝かせる。
「私もそう思うわ。7SEEDS貿易センタービルに、新しい風を吹き込んでくれるかもしれない。」ひとみは期待を込めて、ロビーで静かに待つ菜々美の姿を見つめた。
その時、カツカツとヒールの音を響かせながら、高井まどかが颯爽と現れた。昨日のデートの約束の電話で浮かれ、菜々美への取り次ぎをすっかり忘れてしまった、あのドジっ子だ。しかし、今日の彼女はいつもより心なしか表情が硬い。
高井は受付の二人に視線を向け、事務的な口調で告げた。「本日は、本社ビルに片岡菜々美先生がいらっしゃいます。昨日の件、大変申し訳ございませんでした。今後はこのようなご連絡不備がないよう、細心の注意を払います。失礼します。」
そう言い残すと、高井は踵を返し、再びヒールの音を響かせながら、足早に去っていった。
高井の姿が見えなくなると、ひとみと直美は顔を見合わせ、声を上げて大爆笑した。
「ぷっ!何よ、あの硬い言い方!先生って!(笑)」直美は笑い転げながら、涙を拭う。
「ほんと、お前が言うか!?って感じよね!(笑)昨日、あんなにドジ踏んだくせに!」ひとみも笑いが止まらない。
「でも、ちょっと反省してるのかもね。顔が引きつってたもん(笑)」直美は冷静さを取り戻し、呟いた。
「まあ、あれだけ怒られたら、さすがに懲りるでしょ(笑)。でも、今回の件で、少しは成長したんじゃない?責任感とか、そういうのが芽生えたのかも。」ひとみは優しく微笑む。
「そうだと良いけどね。でも、また同じこと繰り返すんじゃない?(笑)」直美はいたずらっぽく笑った。
二人の笑い声は、7SEEDS貿易センタービルの静かな朝に、ささやかな彩りを添えていた。そして、ロビーで静かに待つ菜々美には、まだ知る由もなかった。彼女の登場が、周りの人々に様々な影響を与えていることを……。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます