第12話
小説「針と糸と夢」
第十一章:ダイヤモンドの輝き
勢いを増す菜々美に焦りを感じた先輩ホステスは、取り巻きのホステス達を引き連れ、菜々美に詰め寄った。
「あんた!調子に乗ってんじゃないよ!」
先輩ホステスの顔は、怒りで歪んでいた。
菜々美は、冷静に先輩ホステスを見つめ返した。以前の菜々美とは違い、その瞳には、怯えや迷いはなかった。
「だったら、実力で取り返してみなさいよ!!」
菜々美は、挑戦的な口調で言い放った。
周囲にいたホステス達は、菜々美の堂々とした態度に、息を呑んだ。まさか、先輩ホステスに、正面から反論するホステスが現れるとは、誰も予想していなかったのだ。
「なっ…!生意気な口をきくんじゃないわよ!」
先輩ホステスは、顔を真っ赤にして怒鳴った。
「事実を言ったまでです。もし、私がナンバーワンの座にふさわしくないと思うなら、あなた方が、実力で私を打ち負かせばいい。それだけのことじゃないですか?」
菜々美は、冷静さを保ちながら、言い返した。
「あんた、本気で言ってるの?私たちが、本気を出したら、すぐに潰せるんだからね!」
「潰せるなら、やってみればいい。でも、口だけじゃ、何も変わらない。お客様は、嘘を見抜きますよ」
菜々美の言葉は、先輩ホステスの心を揺さぶった。先輩ホステスは、自分の言葉に自信が持てなくなっていた。
「…ふん、覚えてなさい。必ず、後悔させてやるから」
先輩ホステスは、捨て台詞を吐いて、取り巻きのホステス達を引き連れて、去っていった。
菜々美は、一人残された。
周囲のホステス達は、菜々美を、畏怖の念を込めて見ていた。
菜々美は、自分の心の強さに驚いていた。以前の自分は、こんな風に言い返すことなど、考えられなかった。しかし、今の自分は、誰にも負けないという自信があった。
「私は、必ず、夢を叶える」
菜々美は、心の中で誓った。
その夜、菜々美は、お店で、今まで以上に輝いていた。お客様は、菜々美の強さと美しさに魅了され、ますます菜々美を応援するようになった。
菜々美は、まるで、ダイヤモンドのように、輝きを増していく。水商売の世界で、成功を収めながらも、デザイナーになるという夢を、決して諦めなかった。
菜々美は、着々と、夢を実現するための準備を進めていた。そして、ある日、菜々美は、重大な決断を下すことになる。
(第十二章へ続く)
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