語り手となる居酒屋の女将さんの口調が愛らしくて、話の内容もあってコミカルな絵面を想像して読めました。なので、河童が出てきてからの暴力っぷりにギャップがあって、そこに味があって楽しめました。酔いにみた幻か、茶化すための笑い話か。夢うつつな〆かたも、「おあとがよろしいようで」
居酒屋の店員と客の会話が続く。読む者は現実なのか与太話なのか判然としないまま、その間の不気味さを一瞬垣間見ることとなる。果たしてこの話。どこからどこまでが現実なのか。これはどんな世界なのか。確かな事は、そんな曖昧なままでも結末まで連れられて行く語り口の巧みさ。ぜひ一読して、確かめられたし。