第40話

独り暮らしには充分な広さのリビングに通されて、ソファーに座るよう勧められる。


柊君が別室で着替えている間、落ち着きなく待っていると、

「お待たせ」

程なく彼が戻ってきた。


制服姿もカッコいいけど、ジーンズに白Tシャツというシンプルな服もすごく似合っていて、さらに緊張が高まる。


「かすみちゃんの家に行く前に、ちょっと話そう」


ぎこちなく頷くと、隣に座った柊君がクスクス笑っている。


「……?」


「いや、すごく緊張してるから、可愛いなって思って」


優しい笑顔でそう言われて、どう答えていいのか分からない。


「どうして、そんなに緊張してるの?」


「それは、えっと……」


健人と二人でいても絶対こうはならない。それは柊君だから。

好きな人と二人きりでいるからだ。


「まあ、理由はわかってるけど、言葉にして言ってほしいな」


わかってるの? 私の気持ちなんてお見通しなの?


「でも、こういうのは男の俺の方から言うべきだよな」


居住まいを正した柊君が、続けて口を開く。


「俺、かすみちゃんが好きだ。人の弱みを握ったのに、それを利用しようともしないお人好しで、生徒会の仕事も真面目に頑張ってくれて、人のために泣ける優しいかすみちゃんが大好きだ」


真っすぐな言葉に胸が熱くなる。それに、私のことをそんなふうに思ってくれていたなんて、嬉し過ぎる。

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