第25話

「かすみちゃんに決まってるでしょ。あら、そちらが三浦さん? どうぞこちらにいらっしゃい」


おばさんが健人の後ろにいた会長に真っ先に気付いて、声を掛ける。


「はい、今日はお誘いいただきありがとうございます」


「いえいえ、こちらこそ。わざわざ家まで来てもらって、ありがとうございます。健人が中学時代からあなたに憧れていたんですってね。この子ったら、すっごく楽しみにしてて、朝から落ち着かなかったのよ」


「母さんっ、三浦さんからお土産にアイスもらったから。冷蔵庫に入れてきた」


これ以上バラされたくないのか、おばさんの言葉を遮る健人。


「まあ、気を遣わなくてもよかったのに。さあさあ、今お肉焼いてるから、たくさん食べてね。かすみちゃんもいらっしゃい」


「はい」


おばさんについて行こうとすると、会長が隣に来て、

「浴衣よく似合ってる、可愛いね」

そんなことを言うから、無性に恥ずかしくなる。


初めて見る彼の私服姿もカッコ良くて、目も合わせられない。


「照れてんじゃねえよ」

健人は相変わらずだ。

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