第17話

体育館には応援する生徒が大勢集まっていて、すでに試合は始まっている。会長の姿を見て大騒ぎする女子達をかき分けて、やっとコートに近づいた。


「お兄ちゃん、遅いよ!」


真っ先に奈緒ちゃんが駆け寄ってきて、他のバスケ部員の元へ会長を連れて行った。私は健人に引っ張られて、彼の学校の部員が集まる場所へ。


「おっ、仲直りできたんだな」


「良かったな、健人」


口々に声を掛けられて、おうっと親指を立てて応える健人。


「なんでみんな知ってんのよ」


健人にヒソヒソと耳打ちする。


「ああ、それはな、幼なじみと仲直りするまで戻って来ないつって、抜けてたんだよ。あっ、三浦さん出るぞ」


会長がメンバーチェンジでコートに入って、一際歓声が上がっている。


「健人は出ないの?」


「俺らは後から一年同士で対戦するんだ。今は先輩達の応援。あ~、やっぱすげえな三浦さん」


一瞬のうちにボールを奪って、華麗にシュートを決める会長。

体育館には歓声とどよめきが広がる。


みんなが騒ぐだけのことはある。

他の誰よりもカッコいいんだもん。


その上、頭も良くて、優しくて、欠点なんて見当たらない。


会長に近づく女子を蹴散らすように、奈緒ちゃんがいつも彼にくっ付いているのも分かる気がする。他の誰かに取られそうで心配になるよね。


それからも、会長のスピード感あふれるプレーに、私はずっと目が離せなかった。

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