詩詩累々-シシルイルイ-
洋介犬(ヨウスケン)
第1詩 ある首吊りの足元のメモより
キミが見つけた首吊り死体の下にはこんなメモが落ちていた。
「キミよ、これを読んでいるキミよ。
人を信用するなとは言わない。
僕の短い生涯でも『希望』と呼べる人との出逢いはたしかにあった。
けれど、すべてを信用するのを善と思うな。
それを自分の誇りとするな。
時には疑いがキミを護ることを忘れるな。
せめて、相手がキミをそそのかして屋根の上に登らせ、いざとなればハシゴを抱えて逃げるような者でないかは考えろ。
乱暴な非難をする者を強いと感じるな。
厳しさをその相手の強さと勘違いするな。
人を護ろうとする者を合理的でないバカだと罵る者に知性を見るな。
指導と称して人の弱さをなじるその口端の歪んだ笑みを見逃すな。
僕はただ自分が彼らを見つけてしまったのと同じスマホと指で死ぬ方法を探してしまったような終わり方をしてほしくないのだ。
キミよ、これを読んでいるキミよ。
すべてを信用するのを善と思うな。
『強さ』を誇示する者に気をつけて。
キミは、こんな風にならない真の強さを探してほしい」
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