無限成長の魂喰者〜魔物やハンターから身体能力値とスキルを奪い、無限成長の果てに神殺しを果たす〜

無名

第1章 5人目のSランクハンター

第1話 ハンター登録

 2100年4月1日。


 世界中で同時多発的にダンジョンが出現した。


 日本では、天高く聳え立つ円柱型の塔が各地に突如として現れた。


 政府はただちに付近の住民を警察官や自衛隊員に避難させ、ダンジョン内部の調査を開始した。


 重武装した自衛隊員達が縦長の黒い楕円形をした入口を潜ると、そこに広がっていたのは鬱蒼とした森林だった。


 つい数秒前まで市街地にいたはずが、一歩踏み込んだだけで景色が一変する。


 隊員達は一瞬呆然と立ち尽くしたが、すぐに気を引き締め、ダンジョンに飲み込まれた人々の救出活動を再開した。


 しかし間もなく、彼らは見たこともない生物と遭遇する。


 背丈は小学校低学年ほど。緑色の肌に、吊り上がった目、高く尖った鼻、剥き出しの歯、そして異様に長い耳。


 人間に似ているが、明らかに人間ではない。


 隊員達は武器を構え、最大限警戒しながら近づいた。すると、その生物はこちらの存在に気づくなり、何の躊躇いもなく襲いかかってきた。


 銃火器はまったく通じなかった。


 死者が出たことで部隊はやむなく撤退を余儀なくされたが、その後も繰り返し調査が行われた。


 多くの犠牲を払いながら持ち帰られた資源を専門機関が研究した結果、次第にダンジョンの実態が明らかになっていった。


♦︎♢♦︎♢♦︎♢♦︎♢♦︎♢


 2110年。


 十年の歳月を経て、世界の姿は大きく変わっていた。


 日常生活を支えるエネルギー源は魔力を帯びた鉱石——魔石へと置き換わり、道路や建物は魔鉱石を砕いて練り込んだコンクリートで造り直された。


 以前よりも遥かに頑丈で、災害にも強い構造だ。


 街の風景そのものが、十年前とはまるで別物になっていた。


 しかし、最大の変化は〈ハンター〉と呼ばれる職業が誕生したことだ。


 ハンターとは、魔鉱石から製造された専用の武器を手に、ダンジョン内に生息する未知の生物——魔物を討伐し、魔鉱石などの資源を採掘して持ち帰る者達のことだ。


 死と隣り合わせの過酷な職業ではあるが、成功すれば莫大な報酬が得られるとあって、若者を中心に人気が高い。


 ハンター達が今日も命懸けで資源を持ち帰るからこそ、人々の豊かな生活が成り立っている。


 松原唯人、18歳。彼もまた、ハンターになって一攫千金を夢見る若者の一人だった。


♦︎♢♦︎♢♦︎♢♦︎♢♦︎♢


 高校の卒業式を終えるなり、俺は自転車に飛び乗ってハンターギルドへと向かっていた。


 「ハァ、ハァ……やっと、ハンターになれる!」


 ペダルを全力で踏み込みながら、口元が自然とほころんでいくのを止められなかった。


 テレビや動画配信アプリでハンターの活躍を目にしたあの日から、ずっとこの瞬間を待ち続けていた。


 進学の話が出たときも迷わなかった。


 専門学校も大学も、俺には必要ない。目指すのはハンターただ一つだと決めていたから。


 駐輪場に自転車を滑り込ませ、駆け足でギルドの自動ドアを潜る。整理券を手に取り、液晶画面に自分の番号が映し出されるのをじっと待つ。


 その間にも、俺と同じ学生服姿の男女が続々と入口から入ってきた。今日は卒業式が重なっているのだろう、新人の多さに受付は賑わっていた。


 順番を待つ間、ハンターとして活躍する自分の姿を頭の中で思い描いていると、機械音声が俺の番号を呼んだ。


 「こんにちは。お名前と年齢を教えてください」


 「松原唯人、18歳です」


 「卒業式の後、直接来られたのですか?」


 「はい」


 「では、卒業証書はお持ちですか?」


 「どうぞ」


 卒業直後にギルドを訪れる新人は珍しくない。ただし、登録には必ず卒業証書の提示が求められる。


 手渡された用紙に名前・年齢・住所・電話番号を記入して返すと、受付職員からハンター証が手渡され、続いて簡単な説明が始まった。


 「ハンターはE・D・C・B・A・Sの6つのランクに分けられており、活動期間や討伐実績をもとに昇格していきます。登録直後は全員Eランクからのスタートです」


 「挑戦できるダンジョンは、ご自身のランクの一つ上まで。松原様であれば、現時点でDランクのダンジョンまで入れます」


 「それから、ダンジョン資源は現代の生活に欠かせないものです。そのためギルドでは、新人ハンターの方に武器・防具・リュックを初回に限り無償でお渡ししています。ただし損傷や紛失の場合は自費での買い替えをお願いしています。以上で説明は終わりですが、何かご不明な点はありますか?」


 「大丈夫です。ありがとうございました」


 説明を終えると別室へ案内された。広い室内では、複数の新人ハンターが職員と共に武器を選んだり、防具の調整をしたりしていた。


 活気があって、それでいてどこか緊張感も漂っている。俺はその空気に自然と気が引き締まるのを感じながら、迷わず長剣を手に取った。


 職員に防具の着け方と調整を教わり、全ての準備を終えてギルドを後にする。


 「よっしゃ! これで俺もハンターだ!」


 表に出た瞬間、思わず声が出た。胸の奥から込み上げてくるものを抑えられなかった。


 すぐにでもダンジョンへ飛び込みたいところだったが、制服のままでは動きづらい。それに長剣を担いで街中を歩くわけにもいかない。


 まずは一度、家に帰ることにした。


♦︎♢♦︎♢♦︎♢♦︎♢♦︎♢


 「母さん、行ってくる!」


 「ハンターは命の危険が伴うんだから、十分に気をつけるのよ。危なそうだったら、すぐ帰ってきなさい」


 母の言葉はいつも通りだったが、その目には心配の色がはっきりと浮かんでいた。


 「分かってる。行ってきます」


 「行ってらっしゃい」


 ジャージに着替えて運動靴の紐をきつく結ぶと、俺は初めてのダンジョンへ向けて歩き出した。​​​​​​​​​​​​​​​​

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