すりごま系能力者

AK3t(TuT)

第1話

「わたし、超能力使えるようになったんだ」

「へー、どんな能力?」

「いりごまを潰して、すりごまにする能力」

「弱っ」

「いやめっちゃ便利だよ?久◯福の味付きごまをすりごまに出来るから」

「久世◯の味付きごまをすりごまにして、何の意味があるんだよ」

「意味あるよ、大アリだよ。「ごま」は抗酸化作用・老化防止などの作用があり、黒ごまにはポリフェノールも含まれているため、アンチエイジングとしても注目されているんだけど···」

「だけど?」

「ごまは皮に覆われた植物で、この皮のあるなしで、ごまに含まれる栄養の身体への吸収率に変化が生まれるんだよ。だから吸収率はすりごま>いりごまになるんだ」

「だったら普段からすりごまを使えばいいじゃん」

「うん。確かにそうなんだけど、ごまは粒を潰した瞬間が1番香ばしさを感じられるときだから、時間が経つほど香ばしさは薄れていっちゃうんだ。ジッパー付き袋に入れてても、劣化は避けにくいし」

「へー、じゃあ便利かもね」

「ふふん、でしょう!このチカラを教えてくれた師匠にも感謝しなくちゃ」

「師匠?」

「バイト先の先輩なんだけどね、とっても優しい人なんだ!」


◆◆


「とっても優しい人、ね···」


「アタシはそんな柄じゃないんだけどな」


「それにしても、たった36時間でいりごまをすりごまにする能力を身につけちゃうなんてね。すごい才能だ」




数ミリのいりごまを大量に、しかも一瞬で潰せるこの能力。


上手く応用すれば、人間の脳血管をズタズタにするなど容易い劇物だ。


“裏”の世界では暗殺術に用いられ本来は門外不出とされてきた。


しかし彼女に才を見出した“先輩”が彼女に能力を教え···


彼女は“殺し”の世界に足を踏み入れていった。



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