第54話
――その夜、私は全ての装飾を脱いだ素の私をさらけ出した。
化粧で誤魔化さない素肌の額に触れられ、恐怖も羞恥も混ざったわけのわからない気持ちになったけど、それを見てロウは優しく微笑んだ。
「生きてる証だ」
たとえば好きでもない他人にそんなことを言われたら、別に生きてる証なんか要らねーよ! って叫びたくなるけど、ロウが言うだけでなにかが違う。
生きてて良かったなあって思う。
「……ありがと」
「礼が言えるようになったのか、お前」
「黙れクソ」
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