第44話

結局のところの事実。中学の頃に人を殺したのはロウ。だけどその前日に私が相手を殺すと伝えたことが罪だった。


ロウは私にそんなことさせないつもりで、代役を請け負ったんだと思う。




先日の事件の時もロウは私にヒナ兄を殺すなと言った。私を罪人にしたくないからだ、って思うと彼の優しさに甘えたくなってしまった。



優しすぎるんだよ、ずっと。どうしてそこまでしてくれるのか分からない。


だってロウは……彼女、できたよね? 私がロウの家を出たきっかけはそれだったよね?



いや待て、ロウだぞ。彼女とか彼女でないとか関係なくそこにいるのが知り合いだったら絶対に守ろうとするんだわ……。そういう人格だった。



そんな彼が、警察に連れて行かれる時に私の顔を見なかった。呼んでも振り向きもしなかった。“もう会わない”と言われている気分だった。



……だった。



悲しい。



野良猫が歩いている影が見える。人影のない寂しい公園。ベンチから立ち上がって、静かに公園から出た。

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