鮮血淋漓
第40話
――パァン、
部屋の中で響音して銃弾は一直線に飛んだ。見えるか見えないかの弾がヒナ兄に命中したことだけかろうじて分かる。
「な、」
ヒナ兄は「なぜ?」とでも言いたげな顔で崩れた。私の足元に転がる。死体? 目線を下げるとヒナ兄は苦しそうに呻き声を上げていた。
「ヒナ……ろ、ロウ……」
ロウを見る。
銃を握ったまま離さない。人殺しの目になっていた。憎いものを見る目。それはロウにとって初めて、本当の意味で、自分自身に苦痛を与える殺意だったのだと私は思う。
「ロウ、ご、ご……めん、ね」
「謝るな」
ロウはヒナ兄の腹部を撃ち抜いた。素人の技術で寝転がった体勢から脚を撃つのは無理だと判断したのだろう。
「う……ぁ、っ」
ヒナ兄は吐血して、それで――静かに嗤った。
ぞっとする。背筋が冷えてまた身体が硬直した。ヒナ兄はなにを企んでいたの?
「ロ、ウが……罪……犯せ、ば、」
「なにを言ってるの?」
「は……づき、お前の、っう」
「?」
「苦しみ、」
私の心の中に染み付く悪と罪の意識。私に一生背負えと。ロウがヒナ兄を殺した罪人である限り、この先永遠に、私の中に残り続ける。
ヒナ兄が。
どうしてそこまでして私に執着する。
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