第21話
「知ってる」
私は何度も暴行された。人体実験のようだった。モルモットのように。
登校拒否するしかなかった。怖いから。人間であって人間でないそれが存在する学校は、私にとって学校とは呼べなかった。
ああ体が震える。いまはもうなんとも思ってないのに、指が痛い。震えが止まらない。涙が。
泣きたいわけじゃないのに。
頭の中を記憶が流れて止まらない。怖いこと、嫌なこと、苦しいことばっかり。
どうして私でなければならなかったの。隣の席のあいつでもいいじゃん。私じゃなくたっていいじゃん。
思わなかったわけないでしょ?
私だけに罰が下されて当然、なんて思うほどネガティブじゃなかったし、そんな善人でもいられない。あいつだったら私は良かった。傍観者で笑ってるあいつらが同じ苦痛を味わえばいい。
なんて。
一番は、人に罰を下す資格もないクズが私に罰を下すという罪で罰を下されればいいと思った。
いやもうどこまで本当か分からない。憎しみがどれだけのものであったのか、時が経つにつれて美化されたり劣化したりするから。
ただ。
「――殺したのは私じゃない」
「え?」
「本当は、私じゃないの」
殺意があったのは私。
罪を共有した人物は彼しかいない。
私のせいで悪にした。それでも彼は優しいから私の罪の心を全部受け入れてくれた。
「ロウ」
ロウは狼。狼っぽくない表面のロウと、悪魔を宿す内面のロウ。そんな姿を知るのは私だけだから。私はどっちも愛してる。誰よりも好きなんだ。
ロウは私と繋がってなきゃいけない。
違うのかな。私のエゴなのかも。
「知らなかった」
「うん」
私が中学2年から高校1年まで少年院に入っていたのは、ロウが殺った1人の殺害の罪。でも私は殺っていない。
罪を被ることが私の罪だった。殺したっていう達成感すらあった。実際、相手を殺すに至るまで私は恐怖で堪らなかったから、私に殺害は無理だったんだけどね。
どう考えても無理だった。
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