多情多恨

第20話

「中学の頃のいじめ、尋常じゃなかったよね。自分で言うのもアレだけど……私もう死んでたかもしれないんだよね」


「アタシはアンタが中1で入った時、もう高1だったからね」


「生まれるの早すぎだよ」


「そっちが遅いんだよ」



これ結論出ないやつ。



「殺されかけた傷跡だってまだ残ってる。体にも中身にも。本当は生きていたくなんかなかった」


「うん」



「鼻と口を塞がれて息が出来ない。酸素がなくなって頭がおかしくなってくる」


「……」


「視界がゆらゆらして、そこに嫌な奴の笑顔があるの。吐き気がした。突然、指を石か何かで殴られた。数本折れたんだよね。そのまま爪を剥がされたの痛くて叫びたくても声なんか出なくて、自分ら何してるか分かってないのそいつら頭おかしいんだよ……!」





笑ってた。

ずーっと。





死んでしまえと人に対して思ったのは、生きてきてそれが初めてだった。


無視されたって変な噂流されたって、別に恨んじゃいなかった。



けど、その時は殺したくてたまらなかった。痛みって怖いんだ。どうしようもなく殺意に満ちる。殺さなきゃいけない使命感に駆られる。



こいつらが生きてるから、私が悪になる。悪になったって構わない。





だから死ねよ。





「――殺したの」

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