第13話

ロウの家を出た。

私は新たな旅に出る!


大きな船で海を渡る!

……そこまで遠くはない。




つまり新たな家を探さなければならない。普通アパート見つけてから出るよね。それが効率的だよね。


勢い余ってそのまま出てきたじゃん。馬鹿としか言いようが無い。




「――ということでして」


『でして、じゃないわよ。もう。手間のかかる子なんだから』


「お、オカアサン!」



……。



『アンタの母さんにだけはなりたくない。めんどくさい』


「大丈夫、もう今更なれないから」



なって欲しくもないし。あくまで友達未満知人以上であって欲しいし。



通話相手の“ヒナコ”の家に向かった。彼氏と別れたばかりで愚痴聞いてくれって前からメールが入っていたけど、まあなんというか、その時は面倒で。



ほら、自分がいい感じだと相手の愚痴聞くとか怠いっていう。都合のいい話である。



「ぴーんぽーん」


「黙れ」



玄関のインターホンを押すと、0.02秒くらいの速度で扉が開いた。まるで玄関待機していたかのように。



「ヒーナー!」


「黙れ早よ入れ」



クールで冷たいこの人は、いま私の中で重要人物となった。


世の中みんな都合良く生きてるって言うけど、私ほど滑稽な人間……そんなにいるかね。


他人利用率半端ないです。





「で」

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