第7話
「……あたし、何か大事なことを忘れてる気がする。」
「…うん。」
「思い出さなきゃいけない気がする。」
「…うん。」
「……だけど、思い出したら全部壊れちゃう気がする。」
「…うん。」
「……怖い。」
「…もう一回、寝よっか。」
あたしの髪を優しく指で梳きながら額にキスを落とすと彼は、グッとあたしを引き寄せた。
彼の中にすっぽりと収まるように抱きしめられたあたしはいつの間にか意識を手放していた。
“忘れないで”
ーーーーーあの声は貴方なの?
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