パート8: 休息と内省、そしてシステム

「ふぅ……生き返る……」


俺は宿の共同浴場(と言っても、大きな桶にお湯が張ってあるだけだけど)で、ようやく体の汚れと汗を洗い流し、部屋に戻ってきた。

新しい寝間着に着替えてベッドに横になると、全身の力が抜けていくのが分かった。


(本当に…疲れた…)


ラットキングとの戦いは、今思い出しても手に汗握る。

あの爪の威力、牙の硬さ、そして数の暴力。

本当に、紙一重の勝利だった。


(でも、勝ったんだよな…)


レベルも上がって、スキルも増えた。

ギルドではたくさんの報酬をもらえたし、周りの探索者たちの見る目も変わったはずだ。

そして何より…


(アカリさんと、明日…)


思い出すだけで、また顔が熱くなる。

まさか、食事に誘われるなんて思ってもみなかった。

明日、何を着ていこう…って、そんなこと考えてる場合じゃないか。まずは寝ないと。


(そうだ、レベルアップの詳細と、新しいスキル…)


ラットキングとの戦闘中に、レベルが4になって、新しいスキル【鑑定】と【アイテムボックス】を覚えていたはずだ。

SPも5ポイント手に入れた。

あれを確認しておかないと。


俺はベッドに寝転がったまま、意識を集中して【システム】ウィンドウを呼び出した。

目の前に、半透明のウィンドウが現れる。


—————————————————

名前:ユウキ

レベル:4

HP:140/140 MP:80/80

スキルポイント:5

スキル:

【片手剣術 Lv2】

【盾術 Lv2】

【パリィ Lv1】

【シールドバッシュ Lv2】

【ファーストエイド Lv1】

【鑑定 Lv1】(New!)

【アイテムボックス(小)】(New!)

—————————————————


(やっぱりレベル4になってる! HPとMPも全回復してるな。しかも、最大値も上がってる!)


レベル3の時と比べて、HPは120から140に、MPは65から80に増えている。

これは大きい。特にMPが増えたのはありがたい。【シールドバッシュ】をもっと使えるようになる。


(そして、スキルポイントが5ポイント…これはどう使うか、じっくり考えないとだな)


ラットキング戦では咄嗟に【シールドバッシュ】をLv2にしたけど、次はもっと計画的に強化したい。

【片手剣術】を上げるか、【盾術】を上げるか、あるいは【パリィ】か…。


(いや、その前に、この新しいスキルだ)


俺はスキルリストの【鑑定 Lv1】と【アイテムボックス(小)】に意識を集中した。

鑑定スキルは、その名の通り、物やモンスターの情報を詳しく知ることができるスキルだろうか?

もしそうなら、探索や戦闘でめちゃくちゃ役に立つはずだ。


アイテムボックスは…これも名前の通り、アイテムを収納できる空間か何かだろうか?

バックパックとは別にアイテムを持てるなら、すごく便利そうだ。『(小)』ってのが気になるけど。


(これは…ちょっと試してみる必要があるな)


俺はベッドから起き上がり、部屋の中を見回した。

まずは【鑑定】スキルから試してみよう。

対象は…机の上に置いてある、さっき買ったばかりの回復ポーションがいいかな。

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