パート9: 次なる挑戦へ

(さて、依頼依頼…)


アカリさんと別れた後、俺は改めてギルドの依頼掲示板に向き合った。

新しい武器と防具、そして新しいスキル【シールドバッシュ】。

これを試せるような、ちょっと歯応えのある依頼がいい。


(今の俺なら、Dランク上位…いや、もしかしたら推奨Cランクの依頼でもいけるか?)


レベルは3になったばかりだけど、装備はかなり良くなったはずだ。

慢心は禁物だけど、少し背伸びしてみるのも悪くないだろう。


俺はDランクとCランクの依頼が貼られているエリアをじっくりと見ていく。


『ゴブリンの洞窟斥候任務(推奨ランクD上位)』

依頼内容:アークライト近郊の丘陵地帯にあるゴブリンの巣穴の規模と内部構造を調査。戦闘は極力避けること。

報酬:銀貨40枚

(斥候任務か…戦闘は避けろってことだから、スキル試しには向かないな。パス)


『街道を荒らす盗賊団の討伐(推奨ランクC)』

依頼内容:南街道に出没する盗賊団(5名程度)の討伐。商人ギルドからの指名依頼。

報酬:金貨1枚 + 討伐証明による追加報酬

(盗賊団…対人戦か。追跡者のこともあるし、練習にはなるかもしれないけど…推奨Cランクで5人相手は、今の俺にはまだ荷が重いか? それに、指名依頼ってことは、他の探索者も狙ってるかもしれない)


『湿地の巨大蛙の粘液採取(推奨ランクD上位)』

依頼内容:南西の湿地に生息する巨大蛙から、錬金術の材料となる特殊な粘液を採取。

報酬:銀貨50枚

(湿地か…足場が悪そうだし、蛙の粘液ってなんか嫌だな…パス)


『廃坑の巨大ネズミ駆除(推奨ランクD上位)』

依頼内容:街の北にある古い廃坑に巣食う巨大ネズミ(ラットキングの可能性あり)の駆除。坑内の安全確保のため。

報酬:銀貨60枚

(廃坑の巨大ネズミ…?)


俺はその依頼書を手に取った。

巨大ネズミ、か。グレイウルフほど強くはないだろうけど、数が多かったり、狭い場所で襲ってきたりすると厄介かもしれない。

ラットキングっていうのは、ボスクラスの個体だろうか?


(廃坑…狭い通路での戦闘になる可能性が高いな)


だとしたら、今回覚えた【シールドバッシュ】や、新しい盾の防御力を試すにはもってこいかもしれない。

それに、報酬も銀貨60枚と、Dランク上位にしては悪くない。


(推奨ランクD上位なら、今の俺でも単独でクリアできるはずだ。よし、これにしよう!)


俺は『廃坑の巨大ネズミ駆除』の依頼書を剥がし、受付カウンターへ向かった。

新しい装備とスキルを試すのに、ちょうどいい舞台が見つかった。

少しばかり薄暗い廃坑でのネズミ退治が、今の俺のレベルアップに繋がるはずだ。

俺は受付で依頼受理の手続きを済ませ、早速、廃坑の場所を確認し始めた。

次なる戦いが、もう始まっている。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る