パート6: 決断:SP解放

(くそっ…! このままじゃ、じわじわ削られて終わりだ!)


ダガー使いの素早い牽制と、ショートソード使いの的確な一撃。

完璧な連携に、俺は完全に受け身に回らされていた。

脇腹の傷がジンジンと痛む。HPは確実に減っている。


(SPを使うしかない…! でも、何に!?)


残りSPは4。


(【ファーストエイド】で回復? いや、焼け石に水だ! 回復したって、この攻撃を捌ききれなきゃ意味がない!)


回復ポーションだってまだ残ってる。今使うべきは回復じゃない。


(なら、ステータス強化…!)


筋力を上げても、当たらなければ意味がない。

耐久を上げても、もう一撃耐えられる保証はない。


(やっぱり…敏捷か!)


今の俺に足りないのは、相手の攻撃に対応する速さだ!

回避能力が上がれば、被弾を減らせる!

攻撃速度が上がれば、反撃の隙も生まれるかもしれない!

【パリィ】の成功率だって上がるはずだ!


(これしかない! 残りSP4、全部『敏捷』に!)


決めた!

俺は迫りくるダガーを盾で受け止めながら、心の中で強く念じた!


《敏捷に4SPを割り振ります。よろしいですか? YES / NO》


(YESだ!!)


瞬間―――体が、ふわりと軽くなったような錯覚。

いや、錯覚じゃない!

全身の神経が研ぎ澄まされ、血流が加速するような感覚!


(なんだこれ…!?)


目の前で繰り出されるダガー使いの次の突きが、ほんの少しだけ、ゆっくり見える!

ショートソード使いの踏み込みも、さっきより捉えやすい!


ウィンドウを確認する余裕はないが、敏捷のステータスが確実に上昇したのだと、体が理解していた。


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(ユウキの脳内イメージ or 読者向け情報)

敏捷:11 → 15 (↑4)

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(いける…! これなら…!)


ダガー使いが、再び高速の連撃を仕掛けてくる!

以前なら目で追うのがやっとだったその動きが、今は違う!


(見える!)


軌道が見える!

俺は最小限の動きでサーベルを操作し、ダガーの切っ先を弾く!


キン! キン!


軽い音と共に、二度の突きを完璧にいなす!

そして、連撃の終わりに生まれた、ほんの一瞬の隙!


(そこだ!)


今までなら反応できなかったその隙に、俺はサーベルを閃かせた!


シュッ!


「!?」


ダガー使いの腕に、赤い線が走る!

浅いが、確実に捉えた!


(やった!)


初めて、まともな反撃が入った!

敏捷を上げた効果は絶大だ!


「チッ…!」


ダガー使いが、初めて舌打ちのような音を漏らし、距離を取った。

ショートソードの男も、俺の変化に気づいたのか、わずかに警戒の色を強めている。


(まだだ…! まだ終わってない!)


SPを使ったことで、わずかな希望が見えてきた。

でも、相手はまだ二人。油断はできない。


(だけど、これで五分以上に持ち込めるかもしれない!)


俺はサーベルを構え直し、二人を睨みつける。

さっきまでの防戦一方の空気は、もうない。

ここからが、本当の勝負だ!

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