子供の頃に見たアレは、何であったのか──。

藪の奥に、廃屋がある。
そこは子供の間では「山下の廃屋」と呼ばれ、彼らの秘密基地となっていた。


ある時、弟が藪に自転車ごと突っ込んで怪我をしてしまうが、一人の女性が声をかけてくれた。

「応急処置をするから、うちに寄って頂戴」と。

そう言って女性が連れて行った場所は、あの──。




著者ならではの、どこか古めかしくも美しい文体で描き出される情景はあまりにも鮮明で、その臨場感からまるで自分がその場にいるかのように錯覚してしまう。

読み進めるうちにこの世界に引き込まれてしまい、わたしもその恐怖を、一緒に体験してしまいました。


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