「変なゴミ」よりも回収してほしいアレ

冒険者たちのぽかぽか酒場

第1話 変なもの、捨てないでください!「ゴミを回収してくれる人」が思う、悲しいリアル。「本当に回収してほしいもの」は何?

 笑えそうで、笑えないSF。

 近未来の日本では、ゴミ置き場に、苦労のない勝ち組バブルおばさんが捨てられはじめるだろう。

 「何で私が!」

 怒るおばさん。

 詳しくは、後ほど…。

 さて。

 オレは、「ゴミ回収師」を自称する男だ。

 集積所のゴミを回収してまわっているが、この仕事の未来を思うと気が重い。

 特に、会社に戻り回収したゴミを分けているとき。

 たとえば、「燃やせるゴミの日」に捨てられているゴミの中身が、おかしなことになっているのに気付かされるから。

 「またか…」

 会社の処理場で、ぶつぶつ言いながら気が重い作業が続く。

 「燃やせるゴミの日を、なめているよな」

 その日に見たのは、コンビニで売られている弁当の空き箱、ラーメンやパスタなどの容器など。

 食べ残しで、ぐちゃぐちゃ。

 容器は、洗えば、資源ゴミとしてきちんと出せそうなのに…。

 「弁当の包み紙も、捨てられているな。包み紙は、むしろ、古紙として回収すべきなのに!」

 ゴミ回収師なら、気が重いを超えて怒るところ。

 回収するほうの人間が、分別し直さなければならなくなるから。

 「回収するのにも、電気代がかかる!焼却炉を修理したり、新しく取り替えるのにも金がいくらかかると思っている!」

 ちょうど、そのときだ。

働いている会社からお姉さんが出てきて、オレに言う。

 「名前を変えてみることに、決まりましたよ!」

 はあ?

 聞けば、「燃やせるゴミ置き場」でなく、こういう名前にしろという。

 「きれいに整えられ、燃やされたがっているゴミ置き場」

 そうか。

 ナイスアイデア。

 「燃えるゴミ」の正しい処理の仕方が、理解できるようになるんじゃないか。

 が…。

 この名称の変更は、予想外の結果を生むことになる。

 なぜ、こんなことに。

 「きれいに整えて、もう燃やすしかないゴミ置き場」に、苦労のない勝ち組バブルおばさんが捨てられはじめたのだ。

 「何で私が!」

 怒るおばさん。

 「これは、まずいぞ…」

 オレの不安は、増すばかり。

 「バブルな勝ち組おばさん」は、捨てる前に何度きれいにしようとしても、きれいになりそうにないから。

 もしも、全国であのおばさんが捨てられはじめたら…!

 全国の処理場は、大混乱。

 日本滅亡か。

 オレの不安、だれか回収してください。

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