「a beautiful moon」



 他愛もない会話をした

 月が綺麗な秋の夜

 やけに大きく丸いイエローが

 澄んだ空気の中 冴え冴えと光って見えた空の下


 あなたの静かに響く声も

 楽し気に目を伏せた微笑みも

 すべてが幸せで満ちた一夜だった


 それが

 あなたとの最後の夜になるなんて


 ふたりだけが

 照らされてるみたいに特別で

 心に染みわたるほど

 美しい夜だったから

 今でも 悲しい気持ちになれないでいるわ


 どうして さよならを言ってくれなかったの

 あなたがいないまま季節が巡っても

 次の秋になったらあなたに会える気がしてる


 真昼の月が輝く度に 祈ってしまう

 さよならの言葉でいいから

 あなたの声がききたい

 肩が触れ合うほど近くじゃなくていいから

 あなたの瞳に会いたい と

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