第9話 裏切りの魔法と新たな覚醒!フラワーフェイズの反撃!

大会が進むにつれて、「フラワーフェイズ」の名は広まり、観客の間ではもはや注目の的となっていた。しかし、すでにライバルたちの不穏な動きは増していた。


「フラワーフェイズ」の戦いが始まるたびに、観客席からは大きな歓声が上がり、その裏ではユナを筆頭に、他のアイドルグループたちが密かに動き出していた。


「この大会、最後まで生き残るのは私たちよ。」ユナが冷ややかな目を向けてつぶやいた。その隣には、同じく実力派アイドル「ヴァルキリー(Valkyrie)」のリーダー、セリーナが立っていた。セリーナは、手にしていた黒い魔法の杖を軽く振りながら、ユナに言った。


「フラワーフェイズ?あのグループは、まだ甘いわ。でも…最初の試練を突破してきたのは確かに驚きだわ。」


「ふふ、でも…」ユナは鋭い眼差しで続けた。「私たちの『魔法』の力に比べれば、どんな歌声も通じないわ。」


セリーナは少しだけ不安げに眉をひそめた。「魔法…それを本気で使うのは…」


その言葉を無視するかのように、ユナは不気味に笑った。「私たちの力を試してみなさい。フラワーフェイズのその『歌』の力が、どこまで通用するのか。」


そして、リリィたちが待機しているステージの裏側で、事態は思わぬ方向に進展していた。


「次の試練、私たちが乗り越えられるか不安だよ…」ナナが小さく呟いた。


「大丈夫、みんなで一緒にいるから。」リリィが力強く言うが、その瞳には、試練に対する深い不安が見え隠れしていた。


「でもさ…あの魔物…どうしてあんな強力な力を出すことができたんだろう?」エリスが首をかしげる。


「たぶん…ユナが何か手を回しているんだよ。」サラが冷静に言うと、リリィは少し眉を寄せた。「でも、今は何も考えず、目の前の試練を突破するしかない!」


その言葉を皮切りに、次の試練が始まる。リリィたちは一緒にステージに立ち、魔法の歌の準備を整える。しかし、ステージの上に現れたのは、予想を超える試練だった。


「次の試練は…『闇の魔法』だ。」突然、会場に響き渡った精霊の声。


「闇の魔法?」ユリが驚き、リリィがその言葉に反応した。「もしかして…私たちの歌の力だけでは、乗り越えられない?」


「その通り。」精霊の声が続く。「君たちは歌によって世界を変える力を持っている。しかし、魔法には『光』と『闇』のバランスが必要だ。君たちが試されるのは、その闇の力をも受け入れ、光と融合させることだ。」


その言葉を聞いた瞬間、ステージが一変した。暗闇に包まれ、見えない恐怖がリリィたちを襲う。突然、どこからともなく、黒い影のような魔物たちが現れ、五感を狂わせるような魔力を放ってきた。


「こんなもの、私たちだけじゃ…」ユリの声が震える。しかし、リリィは一歩も引かずに言った。


「私たちの歌には、光だけじゃなく闇も包み込む力があるって、信じてる。」


「そうだよ!どんなに暗くても、私たちの歌には希望がある!」サラが元気よく言う。


だが、その言葉をもってしても、闇の魔物たちはリリィたちを圧倒していく。その魔物たちは、時折言葉を発し、リリィたちに恐怖を与えようとしていた。


「あなたたち、絶対に…倒せない。」


その瞬間、リリィの体が震えた。魔物が発した言葉が、何か胸の奥深くに響いた気がした。しかし、リリィはその感覚にしっかりと立ち向かう決意を固めた。


「私たち、必ず光を見つけ出す!」


その言葉とともに、リリィたちは再び歌い始める。その歌声は、最初はわずかな光に過ぎなかった。しかし、徐々にその光は強さを増し、闇の魔物たちを圧倒していく。


その時、突然、闇の中から響く音がした。


「まさか…!」リリィが目を見開く。


その音は、ユナの声だった。「あはは、どうしてそんなに簡単に闇に飲み込まれるのかしら?あなたたちの力を本気で見くびってたわ。だって、私たちはもう…『闇の力』を完全に使いこなしているのよ。」


その瞬間、ユナの姿がステージに現れた。背後には、同じく「ヴァルキリー」のセリーナが立ち、黒い魔法を操っていた。


「あなたたちのその力、もうおしまいよ。」ユナの言葉とともに、リリィたちの歌声が一瞬だけかき消された。


だが、その時、リリィたちの体から何かが目に見えない力で弾けた。強烈な光が溢れ、闇の魔法を打ち破るように広がっていく。


「これが、私たちの力…!」リリィが叫んだ。


その瞬間、リリィたちの歌声が新たな覚醒を迎え、闇を光に変える力が生まれた。それは、ただの歌ではない。歌そのものが、魔法となり、強大な力を発揮した。


「これが…フラワーフェイズの真の力だ!」リリィが叫んだその声とともに、闇の魔物が次々に消え去り、ユナとセリーナもその力に圧倒されて後退せざるを得なくなった。


「負けない、絶対に負けない!」ユナが歯を食いしばって言ったが、その顔には驚愕と焦りの色が浮かんでいた。


「これで終わりじゃない。まだまだ挑戦が待っているわよ!」ユナが叫びながら、闇の魔法を振るい続ける。その姿は、もう冷徹な表情ではなく、完全に追い詰められていた。


「フラワーフェイズ、まだまだこれからよ!」リリィが新たな決意を胸に誓う。


次の試練、そしてユナとの戦いは、ますます激しさを増していく。しかし、リリィたちの絆はどんどん強くなり、何者にも負けない力を引き出し始めたのだった。

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