第2話



起こさないようにベットから降りると、下に散らばっている服をかき集めて急いで着替える。

 

 

すると、どこかからブーブー、ブーブー、と着信を知らせるスマホの音が鳴り響いて、ビクッと肩を震わせた。

 



どうやら私の鞄の中で振動しているらしく、慌ててスマホを手に取り画面をスライドさせる。



ピタリ、と止んだ音にホッと息をついて、彼の様子を伺うと、爆睡しているのか、起きる気配のない彼に再度安堵の息をついて、改めてスマホの画面に目を向けた。



通話中になっており、微かに聞こえてくる声と表示されている名前にテンションが上がりそうになるのを必死に抑えて小声で返事をする。

 




 「も、もしもーし…?」

 

「やっと繋がった!通話中になってるのに全然声聞こえないし、」

 

「る、流衣!」

 

「昨日あれから連絡…、ん?どうした?」




私の遮る声に異変を感じ取ってくれたのか、真剣味を帯びた声の主に、大まかに今の状況を伝えると、とりあえずそこから早く離れろとの命令をもらったので、通話を切ってそそくさとホテルを後にした。

 

 


 

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