第37話 異形

 異形の影が抜き身を片手に静かに歩いて行く。一面の葦の原の前まで来ると、一本の葦を残して大群は消えてしまった。立ち止まった異形は構えたかと思うと何の迷いもなく一太刀で葦を薙ぎ払った。異形は踵を返して、or切った葦を跨いで、or切った葦を踏みつけてからまたゆっくりと歩き出した。葦を切った異形が笑っているのか、泣いているのか、分かることはできなかった。

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