第27話 シナリオ
「南奈衛門! なぜ、こんなことをする!」
激情が知古の兵に投げかけられる。向けられた者は答える素振りさえ見せない。
「返事をせえ! なぜ黙っている!」
南奈衛門の眉がピクリを動いた。
「何をたわけたことを抜かしている! そなたがまっこと正しく、我が悪逆非道だとなぜ決めつける!」
竹馬の友がもはや、
「鬼に魂を売ったか、南奈衛門。ならば! それがしがおぬしを斬り、祓ってやろう! 調伏!」
斬って捨てるしか思い浮かばなかった。
「我が鬼に憑かれているというのなら、そなたは無知に、妄信に魂を売っている! 我こそそなたを清めてやろう!」
腕に覚えのある二人の剣士は共倒れした。
それを、冷笑を浮かべながら見つめる異形の影があった。
「……これは本当にゲームのシナリオ、なんだよなあ」
作屋守は送られていた資料の一部を読んで季節外れの肌寒さを感じた。あくまでこれはプロット案の一つでしかなかった。歴史的文献を切り貼りしながらくみ上げたものらしい。作屋守はもう一度章末を読み直すと喉を鳴らすほどに唾をのんだ。南奈衛門と殺し合う侍は、守護職佐久田××というキャラ名案だった。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます