4つめの起動
この体は弱い
すぐに体調不良になるし、気が付いたら腕や手首がズタズタになっている
今のところ誰も気づいていないが、薬の量も増えている
「解離性人格障害」
いわゆる多重人格と呼ばれる
多大なストレスの環境下で、自分ではない自分を創り上げてしまう
いまのところ“創られた”人格の結合方法などは判明していない
「対症療法しかできないですが…あるいは…いや、でも…」
今日の診察で零が聞いてきた主治医の濁した言葉
あるいはってなに?でもってなに?
そもそも、零が創られたいきさつ―
【いい子だね】ねっとりした口調。くさい息。そして始まる愚行
抵抗などできなかった子供だったのだ9歳の…この体には
その後、義父による愚行がママに見つかった刹那―
私はうまれた
そして光が
皆が
うまれていった
最近うまれてきた明は何のためだろうか
「…マスターのご意向に添うしか私たちにはできませんけど。ね」
ママは義父の愚行に怒り狂い、家から追い出した
そのあと2人での慎ましい暮らしが始まったが
また新しい彼氏とやらを家に連れ込み毎夜の狂乱パーティ
精神的に耐えれるわけものなく、家を飛び出し…
優しい祖母の家にお世話になり今がある
祖母はなにも聞かなかった
私の、この体の痣や傷跡を見ても
ただただ、抱きしめてくれた
この体もぼろ雑巾のようになりながら19歳の春を迎えようとしている
うまれてきた子たちは、かならず名前をもっていて性別もあり年齢もある
容姿も違う性格ももちろんある
最初にうまれた零と次にうまれてきた光で現状この体を、皆をまとめている
何事もなければ
あの日、「あなたは何番目?」などと聞いてくるあいつさえ現れなければ
平和にこの生を終えれたのに
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