140字小説

案内なび

1、流れ星

「あっ、流れ星」

 ある晴れた夜。

 彼女の指す方を見ると、一つの星が白い尾を引いて消えいくのが見えた。

「速すぎるって……」

「ねっ。せっかくなら願い事したかったなぁ」

 ぼんやりと夜空を見つめる彼女の横顔が、月明かりで淡く輝く。

「俺も願いたかった」

 今はまだ恥ずかしくて、君には言えない願いを。

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